今夜もきっと月がキレイなんだろう
私は汚物にまみれた身体を乱暴に
バケツの水をかけて濯がれる。
いよいよだ。
苦痛の時間がくる。
鬼に犯されるのは初めてではない。
何度も経験してきた。
元の『飼い主』が人だった時も
同じように乱暴されてきた。
この部屋の女の子達はみんな同じ。
ただただ、閉ざされたこの部屋に住み、飼われていた。
覚悟を決め、苦痛に耐えようと歯を食い縛った。
ーーーーその時。
ドカーン!!!
物凄い暑さと風圧で
部屋の扉が吹き飛ばされた。
ほんの一瞬だったと思う。
扉が飛んだ
それと同じく
鬼の首も飛んでいった。
炎を纏う眩しい金色の人がそこに居た。
「大丈夫ですか?
よもや、人が生き残っているとは…
間に合って良かった」
ーーーーたい、よう
言葉にしたいのに音は出ない。
乾いた空気音だけが部屋に響いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。