今ボクは今朝顔面に攻撃してきたリランと名乗ったヤツの事情聴取中だ。
理解不能。思考回路が回らない。
人間管理庁なんて、そんな役職は聞いたことない。
なら、よくある子どもの作り話ってやつだろう。
からかうように声のトーンをあげながら疑わしげにリランを見つめる。
今度は跡継ぎか。最近の子どもは、ユメがでかいな。
とりあえず棒読みな返事を返しておこう。
…………あれ、ちょっと待て。カミサマって空の上にいるんだよな。
コイツ空から降ってきた。
まさかホントなのか?
いやいや、そんなまさか…。
不覚にも確実に嘘っぽい話を半信半疑とはいえ、信じかけてしまう。まぁ、それはいいとしても……
リランは、少し考えて話始めた。
ふーん…。
黙り込むリランを無視してボクはリランが開けたお菓子を横取りすると、その辺にあった雑誌をパラパラめくりながら呟いた。
そして視界の隅でリランはボクの言葉に少し小さくぴくんと反応すると、突然何かをひらめいたような顔をして元気になる。
子どもらしい笑顔で、すちゃっと警察の様に敬礼するとお菓子を買いに行くといってすぐに部屋を出て行った。
ボクは、リランの言葉も軽く受け流し、また新しいお菓子を開けると、別の雑誌を引っ張り出して再び読み始めた。
その時のボクは、あの言葉があんな意味だったとはまだ予想もしていかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!