及川「え、なんか言った?」
『言ってない』
及川「ふんふんふーん♪」
兄ちゃんが歌い出したのを聞き流しながら←
私は考える。
兄ちゃんは本当にバレーが上手い。
岩ちゃんも言ってたけど、兄ちゃんは、性格は最悪で、ホントうんこ野郎だけど、誰よりも努力家で、研究家や。
負けたくないし。
才能とか、抜群の運動神経は、欲しいって思うけど。でも生まれた時から持ってへん物とか、今から欲しがっても手には入らんしな。
及川「………い、おーい!ねえってば!あなた!」
『才能なんていくらでも開花させたる。
センスなんていくらでも磨いたる。
いつか目の前に現れるかもしれん天才なん
か、打ち砕いたるわ。』
及川「………フッ、いいね、それ。ますます楽しみ
になってきた。」
━━━━ 体育館到着
ピロン♪
あ、メール来てる。父さんからや
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『あ、晩ご飯一緒に食べるやろ?』←聞いてなかった
及川「え?!たべるたべるー!!」
『父さんが仕事はよ終わりそうやから迎えに行
くとの事です』
及川「りょーかい〜、あ、あなたポール1人
で持てるー?」
『持てるわ、バカにせんといて』
━━━━P.M.5時24分 準備完了
ちなみに練習は6時から8時30分まで
及川「ねぇ〜あなた〜」
『ナニ。キモイ。』
及川「ひどい!トス上げてよ〜!」
『このネット210cmしかないで』
※小学生は200ですが、10あげるのはあるあるみたいなので210にしてみました!
及川「いいのいいの〜」
『ええで。ちょっととんでみて。』
及川「大体分かるでしょ〜?」
『最近上げてないやんか』
及川「あーね、いいよー」
キュッキュドン
『いいなぁ、高身長。羨ましいわ、埋めたいく
らいに。』
及川「物騒なこと言わないで!兄ちゃん泣いち
ゃう!」
『……………(無視)ほら、トスあげるで』
兄ちゃんが出したボールの落下地点に入り込み、ボールを待ち、
とんだ高さよりも少し高めのセットアップをする。
【いい?オーバーは落ちてくるまで待つの。
で、手がボールに馴染むように丁寧に肘を伸
ばして手で送り出す。あっははww下手っぴ〜
wwすぐできるようになるよ。なんてったって
あなたは…】
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切り方は気にしない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。