あなた目線
婆ちゃんは長生きだった。
97歳だ。
多分寿命で亡くなったのだろう。
婆ちゃんはいつも、
と言って女の子の服を買ってくれた。
唯一婆ちゃんだけが買ってくれた。
服だけじゃない。
本やおもちゃも買ってくれた。
僕は婆ちゃんが大好きだった
棺の中に、婆ちゃんが入っていた
綺麗な顔だった
死ぬ時の顔ですら優しさが感じられた。
涙が止まらなかった。
この前だって婆ちゃん家行って元気そうだったのに
なんで行っちゃったの……?
婆ちゃんには言ったことなかったけど、
大好きだよ…
今、婆ちゃんの声が……
でも、前からじゃない、後ろからだ…
わかったよ婆ちゃん……
たまにだけど女っぽくしてみるよ……
辛くても、前を進もう。
婆ちゃんのためにも
あれから家に帰り風呂に入って寝ようとした
太陽が覗いてる部屋は父さんと母さんの部屋だった
僕も気になって覗いてみると、
離婚……!?
あんなに仲良かったのに……
僕は……?
僕の話をしない……どうして?
太陽がいきなり扉を開けた
しばらくの沈黙が続いた後
そんな……
母さんと父さんは、僕のこと嫌いだったの…?
今できる精一杯の笑顔
太陽が寝室へ行ったのを確認すると、
いつもの僕ならそんな脅しは聞かないのに
僕、これからどうなるんだろう……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。