第7話

4話
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2021/07/18 01:27
「あなた様!噂で聞いた通り美男子ですわ…!」
「是非私もあなた様とお近付きに…」
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
あ、あはは…
それからいろんな人へと挨拶をして回った。
そして挨拶をして分かった事だが、皆が話している“噂”とは。お父様が、

「息子が本当に美人なんだ。立派な息子だよ」

と言っていたらしい。

お父様に立派な息子と言われて嬉しいけど、なんか恥ずかしいと一人で悶絶しながら歩いていたら。
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
あー…迷った
こんな事ならクレア連れてくればよかった…
サァァァと噴水の音がする方へ行けば赤褐色の髪の毛。

…あれは、メアリ・ハント様。
メアリ様も僕に気づいたらしく、びっくりしながら「どうしてここに…?」と聞いてきた。

僕は迷ったなんて言えるわけなく、はらはらしながら『散歩してました』と誤魔化した。


『メアリ様こそどうして?』と目線を合わせて聞くと、暗い顔をしながら

「華やかな場所は得意ではなくて、」


としんみりした様子で答えた。
可愛らしい顔をしているのに勿体無い。
とりあえず、この暗い空気を変えようと考える。
けれども考えは浮かばず、変わりにずっと思っていた事が口からポロリと出た。
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
メアリ様の赤褐色の髪、綺麗ですね。
僕の髪は雨雲のような色をしているので羨ましいです
慌ててパッと口を押さえるが、ばっちり聞こえていたらしく不思議そうな視線を僕に向けていた。
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
ごめん、つい…その、ずっと思っていた事でしてね…
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
この庭は凄いですね。
花がいっぱいでほんとに綺麗です
メアリは照れ臭そうにもじもじして
メアリ・ハント
この畑は私が育てましたの
そう答えた
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
本当ですか!?とても綺麗だ…
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
カタリナが畑を作っているんですが最近何やら悩んでいる様でして。
良ければカタリナに教えていただけませんか?
メアリ・ハント
…!喜んで…!
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
ありがとうございます!

話だけではあれですし、ぜひ家にいらっしゃってください
僕は笑顔でそう告げた
それからメアリは何度も、カタリナの畑に来てアドバイスをしてくれた
メアリとカタリナが仲良くしていてこっちまで微笑ましい
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
メアリ、ありがとうございます
メアリ・ハント
いいえ!あなた様が教えてくださったからですわ!
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
本当にメアリは凄いね。
なんて言うだっけこういうの…
"緑の手"…
メアリ・ハント
緑の手?
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
植物を育てる才能のある人の手って事だよ

緑の手を持つメアリは特別で素晴らしい存在なんだよ!
自分に自信を持ってと言う意味で、僕はメアリの頭を撫でてあげた
そうするとメアリは顔を赤くしながら
メアリ・ハント
あ、あの畑は元に戻ったけどここに来て良いですか?
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
勿論!
メアリが帰った後、僕とカタリナとキースの3人で歩いていた。
キースからメアリの生い立ちを聞いた。

メアリのお母様は後妻に入った方らしくあまり歓迎された再婚ではなかったらしい。


そしてそのお母様もメアリが5歳の時になくなって…

お姉さん達に煙たがられているそうだから、家で色々あって自信を無くしてしまっていたそう。
キース・クラエス
でも、もうメアリ様は大丈夫だよ
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
そうだね
カタリナ・クラエス
え…わかるの?2人とも
2人/ うん、まぁね
横から見えるキースは大人びていて、吹っ切れたような顔をしていた。

大人っぽくなったなあと思う
キース・クラエス
そういや、メアリ様アラン王子との婚約もそろそろ決まる所だね
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
おめでたいね
婚約…か。クレアが言ってたな
そんなことを思っていれば、急にカタリナが猛スピードで走り出した。
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
カタリナ?どこ行くんだ?
キース・クラエス
ど、どうする兄さん、追いかける?
(貴方)・クラエス 幼少期
(貴方)・クラエス 幼少期
追いかけようか!
とカタリナの後をついていく
カタリナが急に猛スピードで走り出したので後を追うのだが…

カ、カタリナ速すぎる。
先を走るキースの背中を見ながら走るけど、もうダメ。
息が苦しい。

足を止めてハァハァと息切れしている僕をキースは見て
キース・クラエス
兄さん、大丈夫?
と背中をさすってくれた。
弟と妹に足の速さを負けるなんて悔しいと内心思った。

キースが手を引いてくれた。

手を引いて走るなんてキースも疲れるのに。

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