「あなた様!噂で聞いた通り美男子ですわ…!」
「是非私もあなた様とお近付きに…」
それからいろんな人へと挨拶をして回った。
そして挨拶をして分かった事だが、皆が話している“噂”とは。お父様が、
「息子が本当に美人なんだ。立派な息子だよ」
と言っていたらしい。
お父様に立派な息子と言われて嬉しいけど、なんか恥ずかしいと一人で悶絶しながら歩いていたら。
こんな事ならクレア連れてくればよかった…
サァァァと噴水の音がする方へ行けば赤褐色の髪の毛。
…あれは、メアリ・ハント様。
メアリ様も僕に気づいたらしく、びっくりしながら「どうしてここに…?」と聞いてきた。
僕は迷ったなんて言えるわけなく、はらはらしながら『散歩してました』と誤魔化した。
『メアリ様こそどうして?』と目線を合わせて聞くと、暗い顔をしながら
「華やかな場所は得意ではなくて、」
としんみりした様子で答えた。
可愛らしい顔をしているのに勿体無い。
とりあえず、この暗い空気を変えようと考える。
けれども考えは浮かばず、変わりにずっと思っていた事が口からポロリと出た。
慌ててパッと口を押さえるが、ばっちり聞こえていたらしく不思議そうな視線を僕に向けていた。
メアリは照れ臭そうにもじもじして
そう答えた
僕は笑顔でそう告げた
それからメアリは何度も、カタリナの畑に来てアドバイスをしてくれた
メアリとカタリナが仲良くしていてこっちまで微笑ましい
自分に自信を持ってと言う意味で、僕はメアリの頭を撫でてあげた
そうするとメアリは顔を赤くしながら
メアリが帰った後、僕とカタリナとキースの3人で歩いていた。
キースからメアリの生い立ちを聞いた。
メアリのお母様は後妻に入った方らしくあまり歓迎された再婚ではなかったらしい。
そしてそのお母様もメアリが5歳の時になくなって…
お姉さん達に煙たがられているそうだから、家で色々あって自信を無くしてしまっていたそう。
2人/ うん、まぁね
横から見えるキースは大人びていて、吹っ切れたような顔をしていた。
大人っぽくなったなあと思う
婚約…か。クレアが言ってたな
そんなことを思っていれば、急にカタリナが猛スピードで走り出した。
とカタリナの後をついていく
カタリナが急に猛スピードで走り出したので後を追うのだが…
カ、カタリナ速すぎる。
先を走るキースの背中を見ながら走るけど、もうダメ。
息が苦しい。
足を止めてハァハァと息切れしている僕をキースは見て
と背中をさすってくれた。
弟と妹に足の速さを負けるなんて悔しいと内心思った。
キースが手を引いてくれた。
手を引いて走るなんてキースも疲れるのに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!