部屋に戻り急いで引き出しから乙女ゲームの事をまとめたノートを引っ張り出す。
アラン王子ことアラン・スティアートはゲームの攻略対象
ジオルドの双子の弟で国の第四王子だ。
幼いころ病気気味だったため過保護に育てられたやや甘えん坊な俺様王子
明るくて前向きな主人公と恋に落ち激しいライバル意識や劣等感もしだいに薄れ、それまで殆ど交流をもたなかった兄との関係も改善していく。
ノートを見返して、しみじみと涙ぐんでしまうほどのいいお話だわ
因みにアランルートにはカタリナは登場しなくてその代わりにライバルとして登場するのがアランの婚約者メアリ・ハント。
主人公の前にそれは素晴らしい令嬢として立ちはだかるのだ。
ゲームで語られた二人の出会いは確か
「メアリは凄いね緑の手を持っているんだね。植物を育てる才能のある人が持つ特別な手だ。それを持っているメアリは特別で素晴らしいんだよ」
「アラン様…」
アランの言葉で少しずつ失っていた自信を取り戻すメアリは気づけばアランを誰よりも好きになっていた。
――ああそうか、なぜあなたが緑の手を知っているのかと思ったけど…ってアランルートにはあなた居ないわよね!?
な、なんで…
まぁ言ってしまったものは仕方ないわね。それにアランは素敵な王子様。
セリフ1つ取られたってどうもないでしょ
コンコン、コンコンとドアを叩く音がしてガチャと開けると、そこにはあなたとキースが手を繋いでいた。
あなたは息を切らしながらそう言った
あなたは頭が良く、魔法にも恵まれており
おまけに顔がいい。
そして無意識天然たらし。
毎日の様に婚約を持ちかけられているが全て破棄している。
そんな完璧な男がいま私の目の前で息を切らしている。
それがおかしくておかしくて、思わず私は笑ってしまった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!