青羅と友達になったのは、小学生のとき。
私と麻緋は、お互いしか友達がいなかったから、休み時間とか、授業で組むグループとか、いつも二人だった。
小学1年生の時の授業。
いつも通り二人で集まったものの、もう一人が見つからなくて困っていた私達。
その少し離れたところでは、いつも仲良しの女子四人組がごちゃごちゃしていた。
子供の何気無い言葉は、時に恐ろしいものだ。
あの時、仲良しグループの四人は悪気があった訳ではないのだろう。
たかが小学1年生。
されど小学1年生。
あの時、私と麻緋は、彼女たちの言葉を聞き、自分達の性格を恨んだ。
私達がこんなだから。
私達が周りと仲良くできないから。
私達が、友達になれないから。
気付けば二人揃って目に涙を浮かべ、下唇を噛み締め立ち竦む始末。
そんなときだ。青羅が声をかけてくれたのは。
潤んだ目を必死に向ければ、
輝かしい笑顔を浮かべる、スポーティーなベリーショートの、私達とは正反対の雰囲気の女の子。
こっちは名前すら知らないのに、相手は名前を呼ぶものだから、驚いてしまう。
私に始めて、麻緋以外の友達が出来た。
凄く、胸がキュッとなって、
温かかった。
青羅は、私達と違って友達が多くて、男子からも人気があって、いつも中心にいる。
誰とも仲が良くて、いつも皆に囲まれて、いつもキラキラ輝いている。
それでも影の存在の私達にいつも手を差し伸べてくれて、
いつも笑顔で、
私達に声をかけてくれて、
憧れの存在だ。
青羅と出会ってから、私達の日々に、
新しい光が差し込むようになった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。