第7話

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2018/10/30 12:28
麻緋とは、家も近くて、親同士もとても仲が良かったから、幼稚園に通い始めた頃からずっと一緒。
いわゆる幼馴染みってやつだよね。

お互い、どちらかというとおとなしい性格だったから、凄く気が合った。

色々なものをお揃いにして、何処に行くにも一緒。麻緋は凄くいい友達、親友。




小学生の終わり頃、もうすぐ卒業だからって私と麻緋と青羅は、一緒にディ○ニー○ンドに遊びに行った。

凄く、楽しかった。
私たちと違って人気者で、友達もたくさんいる青羅も、その日ばかりはと私たちに予定を合わせて一緒に来てくれて。
珍しく私も麻緋も凄くはしゃいだ。
とっても、いい一日だった。


その日の次の登校日、麻緋は学校に来なかった。
メッセージを送っても、返信はなかった。
朝の会で、先生は、




「田辺麻緋さんが……………行方不明になりました。」




誰もが耳を疑うような現実を、唐突に突き付けられた。

麻緋が行方不明?
意味がわからない。
この前一緒に遊んだじゃん。

信じられなかった。















卒業式も、麻緋はいなかった。















麻緋と再開したのは、春休み中。





麻緋が見つかったと、麻緋のお母さんがうちに来てくれた時。

私は麻緋と話がしたくて、お母さんが麻緋のお母さんと話している玄関口まで行ったけれど、
麻緋はお母さんの車の中にいて、話せなかった。



麻緋のお母さんに
「麻緋もまだ立ち直れていないの…。ごめんね。中学校でも、麻緋と仲良くしてくれると嬉しいわ。」
と、凄く悲しそうな顔をして言われた。





そんなの、当たり前だった。
麻緋は私の、数少ない友達だから。





話せなくても、どうしても顔を一目みたくて、車の中を覗き込んだけど、
麻緋は深く俯いていて、
表情は全く見えなかった。






















それからだ。












麻緋が、前髪で目を隠すようになったのは。




















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