ノンケのハンソルと付き合ってもう直ぐ2年目。
我ながらよく続いたと思う。
でも…正直そろそろ潮時なのかな、とも思うんだ。
ハンソルは財布をケツポケットに突っ込み立ち上がる。
一緒に住んでいたって普段は2人ともバイトばかり。
今日は久々に2人揃って休みだったって言うのに
俺のことを置いてハンソルは出て行こうとしてる。
その選択に躊躇いは見え無い。
そのまま玄関へと向かうハンソルの背中に
俺は耐え切れず言葉をこぼした。
“別れよう”とは言えない臆病な俺。
仕方ないだろ?
だって俺はまだハンソルが好きなんだから。
ハンソルの足がピタリと止まる。
2人で住むために
少し広い部屋を借りているから家賃が予算より高く
休みの日は朝から晩までバイトバイトバイトですれ違い。
だからって狭い部屋に男2人では
友人たちに怪しまれるかもしれない。
このご時世、幾ら昔よりも
同性同士の付き合いを認めてくれる人が
増えたとは言え偏見は根深い。
漫画みたいに簡単には
カムアウト出来るような神経を
俺たちは持ち合わせて居なかった。
だからこそ2人揃って家に居られる休みは
貴重だと言うのに…ハンソルと言えば
いつも友達を優先してばかりだ。
さっきまで別れることが怖かったくせに
言い始めたら何だか段々腹が立ってきて
文句はエスカレートし始める。
ーーゴトッ
そこまで言った時
何故かハンソルが手に持っていた携帯を床に落とした。
-続く-
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。