気になってジュンに
好きな人のことを聞いたことがある。
しつこく聞いてやっと出た特徴が『美人』だった。
そりゃお似合いだと笑って言ってやった。
ジュンはイケメンだ。
俺とは違う
俺なんかどこにでもいるようなフツメンである。
ジュンとは違う
美人とも違う
改めてその時この片想いは何時まで続くのかと考えた。
けれど未だに俺は終止符を打てないでいる。
3年間もずるずるとこの恋心を引きずっている。
約束通り放課後に飴を買い
何をしようかと歩いていた時ジュンは空を見上げた。
途端にザアザアと叩きつけるような雨が
容赦なく降ってきたので急いで近くの店に避難する。
まじで中身もイケメンだよ
そりゃ、モテモテだよ
ちくしょーが
俺はジュンからタオルを奪いとって
無理矢理にジュンの髪を拭いてやる。
わしゃわしゃと力を入れて
痛いとか言われたががそんなもん知るか。
手ぐしで直す奴を尻目に俺は外を見る。
まだまだ雨が止む気配は無い。
は?
何を言ってるんだ?と思ったが
隣のジュンの表情を見て俺は驚いて固まる。
なんだかいつもと感じが違ったのである。
何かを決めたような緊張しているような顔だった。
理解出来ないままジュンは勝手に走り出した。
仕方なく俺も後を追うことにする。
ジュンの表情が嫌に気になったからだ。
駅に走るのかと思えばジュンは違う方向に走っていた。
かなりの距離を走り息が乱れて足が重くなってきた時
前を走っていたジュンが膝を付いていた。
お互いに限界なようで雨宿りの為に辺りを見回すと
そこには如何わしいホテルしかなかった。
焦ってジュンの腕を掴み
立たせようとするがびくともしない。
ふざけるなと思ったが
このままここにいるのも目立つし風邪を引いてしまう。
仕方なく意を決して俺はホテルに足を踏み入れた。
-続く-
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。