第5話

シロクロ
17
2020/07/21 06:27
根本的な話をしましょう

もっと問われるべき、正常な話し合い。
私はそんな気持ちを、オブラートを二重三重にぐるぐる巻きにしてなるべく穏やかにお淑やかに聞いた。

「それはルール違反では」と。
「だが」
「えぇ分かっています、日本のロイヤルファミリーと呼ばれた松木家の親戚のご家庭ですから多少のリスクを伴い、ルールに背くことも必要でしょう」

話を遮り返した。
無論、私はルールは守りたいだけだ。
ただ少し、鶴音の父の態度に立腹してやり返したかっただけの口実なのでさっさとやり返してこの家から脱出したいのが本心だ。
「けれど他に方法はあるはずです 今からでも遅くない、家庭教師を雇うだとか シロのまま、鶴音さんを合格させる案が」
「ハァ……もういいよ、すまなかったねれいなちゃん。 君への依頼はお父さんを通して話すよ 空気が悪いからね お開きにしようか」
逃げたな。
そう確信して、浅く腰掛けていた椅子を立ちそそくさと家から出ていった。
クソ親父の擬人化かよ、他人の子供を利用させようだなんて。

まぁいいか、逃げたということは私が勝った。
山内家を守れた。 それだけで祝杯を上げられる快挙であることは事実なのである。

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