第7話

反省会
31
2020/07/22 05:35
「れいな、松田さんかられいなに頼み事があるらしいからそれ、ちゃんとこなすのよ」
「分かってる」
家に帰って開幕、こう言われたものだから少し眉間に皺を刻んだがその怒りはすぐに呆れと化した。

母から外堀を埋められて、私はルール違反をせざるを得なくなった。
規則に反していないと嘘を突き続ける人生を選んだ。
世間体という我が素晴らしき主に命を捧げた。
こんなLINEの会話が来てしまったからには明日、何らかの動きを見せるこの替え玉受験に私はまた呆れていた。
娘を利用、かそれとも私を油断させるのが狙いか。
どちらにせよ、鶴音側から自分の意思で私に近付いた可能性は限りなく低い。
利用か、はたまた利用か。

人間関係なんて所詮利害関係だと昔読んだ本に書いてあったが、
当時は「何偉そうに言ってるんだか」ですぐにその本をぱたりと閉じたのだが今になって
その文章は私を冷静にさせる良い薬である。

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