第10話

保健室②
1,316
2018/09/21 10:25
「何かあったんでしょう。」


ファイルと資料の整理をしながら、先生は私に言った。


「朝あった時も少しぼーっとしてたみたいですし。」


見透かされていたのか。
ここ、保健室に来た時以前に、朝、昇降口で出会った時から。
保健の先生って、一体どこを見てるんだか…。
すごい、と素直に思った。


「すいません、なんか💦」
「あー、いえいえ、僕は大丈夫ですよ。もし何かあったら聞きますよ。」


悩んだ。話すべきなのか。はたまた話さないべきなのか。話さなくてもいいのか。どーすべきだ…?
第一、あんなの恥ずかしくて言えたものじゃない…というか…。

…。


「先生、は、えっと…。」

「…なんですか?」



「キ…」





「やっぱりなんでも…」

前言撤回。「キスしたことありますか」なんて聞けたものじゃない。辞めておけ…、

「キ…?」


ぐいっと先生と体の距離が近づいた。
ちょっ、と、、、近い…。無条件に熱くなる。熱があるせい、だ。絶対。

なに、この言わざるを得ない状況は…!!!!


「キス…、したこと…あり…ま…………すよね、すみません、なんか。」


なんてことを。
こんなかっこいいイケメン教師がしたことないなんてあるもの…


「ありませんよ笑」


なんてことだ!!!!!




「う、嘘とかいいですって。」
「ビジネス上の話だと思ってますね?」
「そりぁ思いますよ」




「なんですか、それが体調を崩した理由ですか?」
「あ、いや、その…」

「キスされたとかって話ですかねぇ。」


──!!
この先生分かってるな??



「あぁ、当たっちゃった感じですか、」


くそ、憎めない…。
どうもベッドで頭をぶつけたことが頭から離れず、、、。


「なるほどね……。ちなみに、今保健室誰もいないんですよ。新垣先生も朝学校に来たにも関わらず、呼ばれて飛び出て行きましたからね。」


「そ、そうなんですか」


「少し、いいですか?」


「…?」


「私、いつも放課後は校舎の窓を閉めて回ってたんです。白野さんは気づいていなかったかもしれませんが、いつもあなたの声が聞こえる度に足を止めていたんですよ。」


何かを思い出すような素振りで、にこやかに笑った。


「頑張ってるんですね。毎日楽しみにしています。」














それからの記憶はなかった。
目覚めたら坂川先生が「目が覚めましたか」と言っていた。

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