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第15話

二缶のお酒
シャワーに打たれながら無言で考える。

濃い2日間だった…。

考えれば考えるほど色々と苦しくなる。
蓮理とキスをしてしまったこともまるで分からないし、今日の昼休みに蓮理に言われたことも、イマイチ分からない。

いつかわかる…のか…。

ひとつの不安となっている。



「羽音ー。」


脱衣場の外から姉の声が聞こえる。
少しだけ飲んだのか、酒には弱い姉は声が安定していなかった。


「なに?」

「後であたしの部屋来てくんない?」

「え」

「あ、そーゆー反応すんの?あーそうなのねはいはい、あんたの好きな炭酸ジュース買ってきたのに。」

「…行ってあげるよ」

「ん。待ってるわ。」


まんまとジュースで…。
姉の芽羽は人ののせ方が上手い。
おまけにメイク上手だし、もったいないことにすっぴんでも可愛くないことはない。

どちらかと言えば綺麗、かもしれないけど。

だから中学時代や高校時代は男がたくさんついてきたらしい。
それでも姉は中学から出会った"彼"とずっと一緒にいた。


それは今でも。


こんな荒苦しい姉のどこがいいのかは全く分からないが…。






「おっ。風呂でたんだ。」

「まぁ。てか…姉ちゃんまだ飲んでたの、?」

「んー。ぷふぁ。いつ飲めなくなるか分からないからねぇ。」

「ふーん…。んま、中毒にならないほどにね。」


アルコール度数は低いものの、机の上に並んだ缶は二缶。週一で一缶しか飲まない姉には珍しいと思う。


「で、?なに?」

「あたしさー、彼氏いるじゃん。」

「知ってる。翔飛(カイト)さんでしょ。」

「そ。」


さっ。

出されたのは左手。
薬指には銀色の輪っかがついていた。


「プロポーズ、されたの。」


酒のせいなのか、照れているのか。
顔は真っ赤だった。

妹としては


「おめでとう、じゃん」


なんか目の前に結婚する人がいると思えなくて、信じられなくて、かなり素っ気なくなってしまった。


「でも、なんで私に…?」

「お母さんに言う前の練習。」

「お母さんに言う時はお酒飲んじゃダメだからね」

「んなのは分かってるっつーの。」


照れた顔を隠すための酒だったのか。
たまには可愛いところもあるじゃないか。
二つ並んだ缶をみてそう思った。


「そう言えば、私翔飛さん見たことない。」

「そうだね。」

「結婚の報告には来るんでしょ?」

「当たり前でしょ。最初は私が報告するけど。」

「ま、お姉ちゃんのことだから私がいない間に済ましちゃうんだろうけど。」

「やっぱよく分かってんなー。」

「これでも18年一緒にいてきたからね。」


姉はニカッと笑った。


「私、部屋に戻るわ。ジュースありがとね」

「あーいいよ。こっちも練習付き合ってくれてありがと。」

「うん、おやすみ。」

「おやすみ。」


そう言って姉の部屋の扉を閉めた。


姉が…結婚…か…。


結婚式に出られるのかな。


人の結婚式だけど少しだけ楽しみだな。



おめでとう