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第15話

Finally
211
2021/06/27 06:16
花火大会の後から、まるで心にポッカリ穴が空いたような違和感を感じていた。
何故か満たされない心に俺は不快感を抱きつつ、いつもと変わらない平凡な毎日を過ごしていた。
天満 月夜
天満 月夜
(あ、今日好きな漫画の新刊が出る日だ)
俺は帰り際に駅の書店へ入った。
天満 月夜
天満 月夜
(あった、これだ)
天満 月夜
天満 月夜
ん?
漫画コーナーの隣に設置された絵本のコーナーが目に入った。
その中でふと目が止まった絵本があった。
天満 月夜
天満 月夜
『star princess』
天満 月夜
天満 月夜
星のお姫様、か
天満 月夜
天満 月夜
...なんで
天満 月夜
天満 月夜
この子は泣いているんだろう
表紙のお姫様は
何故か涙を流していた。
そして何故か本の表紙に雫が零れ落ちた。
天満 月夜
天満 月夜
あれ
何故か俺は涙を流していた。
天満 月夜
天満 月夜
なんで...
その時、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた。
天満 月夜
天満 月夜
...!
その声を聞いた瞬間、涙が溢れ出して止まらなかった。
天満 月夜
天満 月夜
(この声、知ってる...知ってるのに)
天満 月夜
天満 月夜
(なのにどうして...)
天満 月夜
天満 月夜
どうして思い出せないんだ...!
胸が痛くて、苦しくて。
忘れちゃ駄目だったはずの声の主の名前も顔すらもが思い出せなくて。
悔しくて。
俺はただ「見つけてくれてありがとう」と言った彼女の言葉を噛み締めてその場に泣き崩れることしか出来なかった。

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