無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

155
2021/08/02

第10話

# 9
勝利
ごめん、無理に連れ出して


少し私より背の高い彼。




無理に連れ出したのを謝る彼は、

優しくて良い人なのだと改めて思う。




けど、
あなた
別に、大丈夫。


可愛い返事は出来ない。



風磨以外の男子と話すのは

苦手中の苦手だ。


勝利
話したいこと…

っていうか、
謝りたいこと、あって。



…、

彼は、何回 私に謝るのだろう。




あなた
…なに、?
勝利
……おれ、
無神経なこと言ったな、
って思って。
あなた
…、あっ…ぁぁ、
勝利
ごめんっ、ほんと!


必死に下げられた頭。



柔らかそうな、

焦げ茶色の髪を見つめながら



彼の言葉を思い出す。









“ 好きな人とか、いる? ”








あなた
だいじょうぶ。
…頭、上げて、?
勝利
…、


まだ申し訳なさそうに

此方を見つめてくる瞳から


目を逸らし、

なるべく落ち着いた声で言う。



あなた
聞いたんでしょ、?
風磨から。

…私の、好きな人のこと。
勝利
…ぇっ、ぁ、



何故、と 戸惑う彼に

再び視線を戻す。



あなた
わかるよ~…、
風磨のことだもん、





風磨以外の男子の中で、

唯一 私に声を掛ける佐藤くん。


風磨は、彼が良い人だと確かめ、

教えても、大丈夫だろう

と、佐藤くんを信じたのか、



それとも、

佐藤くんの、私への告白ともとれる

言葉を聞いてしまい、

彼に伝えた方が良いと判断したのか。






どちらかは分からないが

どっちにしろ、私にとっては


佐藤くんに知られたことを

嫌には思わない。








風磨はいつも、

私にとってベストな判断をして

行動してくれる。




勝利
…俺も、力になれないかな。
あなた
…、ぇ、?
勝利
風磨くんじゃないと、
やっぱ…駄目、?
俺も…力になること出来ない?




勇気を出して言ってくれた

その言葉は、


少し自信のなさが感じられる。




私に、拒否される、というのが

怖いのだろうか、?



あなた
めんどくさいよ、?
勝利
…、?
あなた
ほら、私、
すぐ泣いちゃうし、!

嫌なことあったら
すぐ逃げるし、
勝利
…、
あなた
…私と、
関わらない方がいいよ、
勝利
……、
勝利
…俺が、瀬戸さんと
関わりたいって思ってても、?
あなた
…、
勝利
瀬戸さんからしたら、
こんな俺、
ただの迷惑な奴だろうし、

俺が何か言ったって
何も変わらないって。
自分でも、わかってるよ、
勝利
でも、
思っちゃうんだ、

そばにいることが
許されるぐらいになりたいって。
あなた
、    …
勝利
まだ何も知らないし、
それほど話してもないし

俺なんかじゃ、…
頼れないだろーけど、。
勝利
1人で泣くより、
誰かが居てくれる方が
心強いじゃん。

瀬戸さんにとって
辛い時に隣に居させてくれる、
それぐらいの人間になれたら、
いいな、って。





彼の、優しさに。

胸が締め付けられた。



嬉しくて、嬉しくて



そして、

とても苦しかった。







優しすぎて、苦しかった。










健人も、

こんな優しさを持っていたから。







あなた
勝利
ごめん、なんか、
めっちゃ変なこと言って…
あなた
…ッ、
勝利
瀬戸、さん、?
あなた
……怖いんだ、
あなた
もう…これ以上
大切な人を作りたくない



そう、怖いんだ、。





ずっと怯えていた。






勝利
…っ、
あなた
風磨も…っ
風磨だけでもっ
怖くなっちゃうのに…っ




優しく抱き締めてくれる温もりが

無くなるかもしれない、なんて




何度思ったか分からない。





あなた
…もうっ、
嫌なの、っ、……
あなた
…失うのは…っ…ぁ
勝利
……、





こんなに大声で泣いたのは

何年ぶりか分からない。





苦しくて、苦しくて

顔も心も涙でぐちゃぐちゃだけど







でも、

そっと抱き締めてくれる彼の体温は



私のぐちゃぐちゃな心まで

優しく包み込んでくれる、。











健人よりも、

風磨よりも、。





小さくて、細くて、

少し甘い、薔薇のような香りの彼。











彼は何も言わずに

ただ、ずっと。




優しく抱きしめてくれていた。