第14話

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2021/01/24 14:11
サクッとした歯触り







ほんのりと甘さが広がって






生焼けでもない、焦げてもない
綺麗な焼き目









『か、完璧なのでは!?』








これは完璧なクッキー
文句は言わせない









パティシエの両親だって
親指を立てるお墨付き









親指立ててるんだよ?
下げてないんだよ?最高じゃん?










にしても長かった
カントリーマアム時期が4日くらい続いた











そして突然焼き加減をマスターした








天才なのでは?
って思ったけど天才はクッキーごときで
こんなに材料無駄にしないわ








そうだ、約束してる身だし
来週帰ってくると思うけど
亥清に連絡しよ







とクッキーの画像と共に







クッキー作れるようになったよ







とメッセージを送った









でもそのメッセージに既読がつくことはなく


最初は
仕事忙しいのかな、と思っていたけど









さすがに送ってから3日経っても
既読がつかず珍しく私は焦っていた









まずあいつもう帰国して仕事してんの?









それとも海外ロケって形で仕事してんの?








再来週学校行くってしか聞いてない








だって連絡取れなくなるなんて思ってなかった







今までだってどんなだる絡みでも
休憩の合間とか移動中に連絡返してくれたし









『…いや、いうてアイドルだもんなぁ』









そうだよ
今めっちゃ人気急上昇中の新星なわけで








そりゃ仲良くしてたかもだけど
忙しくなったからプライベートを断った








それだけの事なんだと悟った









じゃあこのクッキー渡して
クラスメイト以上友達未満の関係は終わろう







そう思った途端何故か少しだけ
柄にもなく泣きそうになってしまった




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