ふと後ろから普通の声が聞こえたので、思わず振り返ってしまった。
あれ、さっきの変な声が消えてる。
心做しか化け物もいないような気が……
振り向いた先にいたのは、パッと見普通の人……ではあった。
足元!足元!!
なんかグチャっとした何かがいるぅぅぅ!!
なんか、もう無理な気がします……。
バタンッ
まあまだギリギリ遅刻ではないから心配の必要はないんだろうけど。
でも、仁花ちゃんいっつも真面目だし、なんか嫌な予感もするような……。
うーん……気の所為だったらいいんだけど……。
でも俺の方見て気絶したしなぁ。
俺のせいなのかなー……。
えー、いい案だと思ったんだけどなぁ。
んじゃ駅員さん呼び戻すか……制服着てるし、学校にでも運ぶか……。
いや、こういう時は俺が考えるより伏黒に任せるのが一番だな。
いやわかるかよ。俺全部の学校の制服覚えてるわけじゃねえし。
頑張って記憶を遡ってみるも、思い当たる節が見つからない。
そーですかそーですか!!
意地でも思い出してやろうじゃんかっ!!
なんっか思い出せそうな気がする。
俺が悩んでいると、伏黒は面倒くさがってどこかへ行ってしまった。
ふと、視界の隅で何かが動いた。
視界に映ったのは、真っ黒な鳥、カラスだ。
あ、そうだ。
そういやあったわ。
すっかり忘れてた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。