第6話

5話
1,133
2021/12/27 12:36
助けてぐれ"る"ぅ?
谷地仁花
ひっ……



小さい子かと思ったのに。



目の前に居たのは、見たことも無い気持ちの悪い生き物だった。
谷地仁花
え、えと……



なんで言葉が喋れるの、なんでここにこんなのがいるの、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで……!?
だずげでよ"ぉ……



何かも分からないその生物は、静かに、静かに、私に這い寄ってきた。
谷地仁花
こ、来ないで、ください!



怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い



今までに感じたことがないほど、恐怖を感じた。



脳が逃げろと訴えていた。



絶対に捕まってはならない、と。
だずげで……ぐれ"な"い"の"?
谷地仁花
ッ……



逃げないとっ……。



駄目だ。



耳を貸しちゃいけない。



走らなきゃ。



逃げなきゃ。






恐怖で筋肉が硬直しているのがわかる。



走る以前に足がすくんで動かないのがわかる。



もう腰だって抜けそうだ。
ね"え"



それでも……逃げなきゃだめだ。



捕まったらどうなるかなんて想像したくもない。
あなた
『もし目の前に絶対勝てない相手がいたら、私なら逃げるかな』
あなた
『逃げることで自分を守れるなら、私はそうする』



ねえ……あなたちゃん……。



あなたちゃんは、この生き物を前にしても同じこと言えるのかな……。



私はどうしたらいいのかな……。



逃げようと思っても、体が言うこと聞かないんだ。
おいっ!そこの奴!
逃げろ!!
谷地仁花
えっ……?



声と共に後ろから現れたのは、犬……?を連れた男の人だった。
なんでここにいるのかは知らないが
後ろ向いて走れ
谷地仁花
あ、あの……
早く!
谷地仁花
ひゃ、ひゃい!



どういうこと……?



わけがわからない。



……でも、おかげで体が動く。



私は後ろを向いて、全速力で走り出した。












あの人は、大丈夫かな。



でも、まずは、逃げないと。
谷地仁花
ッ……はぁっ、はぁっ



気づけば私は、駅の前まで走ってきていた。



ここまで来たら、大丈夫かな……。
谷地仁花
空が……真っ暗?






夢中で逃げてたからか気づかなかった。






ほんとによくわからない。



この状況は、なんなんだろう。
いっじょに"、あぞぼ……?



ビクッ



この感じ……さっきと同じ……。



後ろから聞こえてきた気味の悪くかすれた声は、多分さっきと似た生き物だろう。



振り向いたら、多分私は動けない。






私は、前を向いたまま走り出した。



ほんとに……なんなんだろう。



でもっ



逃げなきゃいけないのはわかる。



誰かっ……。



助けてくださいっ。

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