無抵抗だと、両手をあげ俺たちの心配をする虎杖に少し。いや。
かなり顔を歪める。
今喋っているのが、さっきのやつなのか虎杖なのかは俺にはわからない。
頭にはてなを浮かべる、虎杖になんて呑気なやつだ…と頭を抱える。
ふっと、現れる謎の目隠し男に度肝を抜かれる。
前見えてんのかな。
先生なの?この人が?その学校大丈夫?
ボロボロな教え子に向かって、スマホを取り出し写真を撮り始める。
……なんだこの人。
俺の事を指差してパンピーだか、迷い込んだだか言われる。
話の展開が早い人だな。
いや。話聞いてないだけか。
『マジ』
と、言う虎杖と伏黒に内心ビビる。
食べた?食べたの?食べたからあぁなったの?
にぃっと効果音が付くくらいニコッとする。
ガサッと伏黒の方に、紙袋を投げ、準備体操をしだす。
「喜久水庵喜久福」
???
仙台のお土産?
お土産買ってきたの?この人。
冷めた目でちらりとゴジョー先生を見る。
たまたまなのか、目隠し越しに目があったような気がして
なんだか気まずくなって目線を伏黒の方に向ける。
伏黒も俺と同じ事を思っていたのか、ピシャーンッと固まっている。
スクナというやつに、虎杖が変わったのかゴジョー先生に殴りかかるも、
避けられてしまう。
ジリッと伏黒が、俺を守る形に入る。
フイッと逸らすと、スクナはニヤッと笑って俺に近づいて来ようとするも、
先生のカウントダウンで動きが止まる。
何が?そう言いたくなる、前に出ようとしても伏黒の手によって制される。
パッチリとした目で、見つめられる
アイツの声がする。と自分の頭をガンガンと叩いている虎杖に安堵する。
そういうと、トンと額に指を当てると、虎杖が倒れる。
ビシッと親指を立てる。良かった。虎杖は処刑じゃないんだ…。
持っててー。と伏黒に虎杖を預ける。
なんだこの人。的確に当ててきた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。