中学校に上がった。
桜は僕ら新入生を歓迎するように踊っていた。
兄と同じ学校。
やっと追いついたのに兄はあと1年で卒業。
ひとつ上の兄は、バレー部に入っていた。
校長の長い話。
退屈だったから、部活について考えた。
僕は小学生の頃からやっていたドラムを活かした軽音楽部に入ろうと思った。
生徒会長らしき人が喋り出したとき。
ふと思い出した。
小学校入りたてでまだ僕も泣き虫な頃。
バレーの試合で負けて、僕が泣いて。
そんなとき、兄が言った言葉。
西谷「なぁあなた、中学生になったら絶対一緒にバレーやろう!俺もっとレシーブ上手くなってたっくさん繋げてやるから!」
そのあと僕はなんて言ったかなんてとっく忘れた。
勝手に。自分の中で兄とは違うと決めつけていつしかバレーで遊ばなくなったけ。
そんな出来事から3年後ぐらいに、ドラムと出会った。
なんで今思い出したんだろう。
どうせ兄とは違う。
僕には運動の才能もセンスもない。
あるのは。
あるのは。
あるのは?
僕に何がある?
どうせ考えたって無駄だ。
式中は寝て過ごし、直ぐに家路についた。
帰ってから、兄に言われた。
なんのことだろうと思ったら、1番聞きたくない言葉だった。
西谷「なぁ!あなた!部活決めた?バレー入んね?」
は。
感情は捨て仮面を貼り付ける。
あなた「まだ入学式終わったばっかだよ?それに、部活は軽音部入ろうかな~って思ってるけど、、」
西谷「け、軽音!?い、や、、ちょっと、あそこは、、なぁ、、、」
何か問題でもあったのか。
それとも兄の演技力が上がったのか。
あなた「なんかあった?」
西谷「いやぁ、、、あそこはあなたが思ってるような感じの部活じゃねぇよ、、?え、っと、怠けてる寄りな感じ、、」
は。
兄より許せなかった。
あなた「まじかぁ、、」
西谷「だ、だからバレー、入んね?」
前言撤回。
あなた「僕には、ドラムがあるから。バレー"なんて"やんない。」
あ、やってしまった。
西谷「"なんて"?あなたさ、音楽貶されたらキレるくせに他人がキレること平気で言うよなぁ。」
あなた「ごめ、、」
西谷「じゃぁさ、バレー入れ。強制な。」
今思えばこの喧嘩が全てのきっかけだったのかもしれない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。