第29話

治ったセカイ。
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2022/02/04 23:37
佐東くんが手術室に入ってどのぐらいたったのだろう。

ふとそう思ってスマホを見ると、佐東くんが手術室に入ってまだ15分しか経っていない。

凛斗母
まだかかるから寝てていいわよ。
井上 紗羅
でも…
スマホの時計を見ると午前11時。

だけど、ここはニューヨーク。
時差の関係で日本時間だと午前1時。

いつもだったら寝てる…かな。
井上 紗羅
佐東くんのことも気になる…けど…。
凛斗母
凛斗は大丈夫。
凛斗母
それで沙羅ちゃんが体調崩しちゃったらそっちの方が凛斗も心配するわ。
そうだよね。

佐東くんに心配かけないためにも。
井上 紗羅
おやすみなさい。
凛斗母
おやすみ。












井上 紗羅
ん…。
目が覚めるとまだ佐東くんのお母さんは寝てて、手術中のランプもついていた。

時間を見ると午後5時。

結構寝た…
凛斗母
ん…。
凛斗母
沙羅ちゃん、おはよう。
井上 紗羅
おはようございます。
そんな話をしている時だった。

手術中のランプが消えた。

そして、行きつけの病院の看護師さんが手術室から出てきた。

看護師さんは佐東くんのいつもの看護師さんらしく、今回ついてきてもらったんだった。
看護師
佐東さんの手術は、無事成功しました。
少しの沈黙のあと、私は自分が泣いていることに気づいた。
井上 紗羅
佐東くん…よかった…。
凛斗母
沙羅ちゃんのおかげよ…本当にありがとう。
井上 紗羅
いえ…
看護師
副反応がでる可能性もあるため、今日は少し療養して、明日以降退院出来るようになります。
看護師
本当に…良かった…。
そういう看護師さんも泣いていた。

本当に良かった…
凛斗母
じゃあ、凛斗の病気は…。
看護師
副反応が出ない限り、完治したといっていいでしょう。
看護師
再発のリスクも小さいそうなので。
凛斗母
良かった…。
こうして、佐東くんは不治の病という長い呪縛から解放された。

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