そういって、私は家を出る。
いつも通っている見慣れた道。
いつもよりも出るのが早かったのか、1分程早く駅についたようだ。
そして、最寄り駅で降りる。
学校に行くということに対して、ずっと憂鬱な気持ちは変わらない。
正しく言うと、学校に行くのが辛いということだ。
決してダルいとかいうことではない。
みんなとは違う環境下に置かれているためだ。
まぁ、どれもこれもいつものことだ。
校舎内に入り、リュックから上履きを出す。
私が置かれている特殊な環境に順応するための対策だ。
今日のところは幸い、まだなにも被害はなさそうだ。
そして、教室に入る。
机の上にはいつものように落書き。
壁には私への誹謗中傷の言葉が書かれた貼り紙。
そして、それを見てみぬふりをするクラスの人。
いつものことながら、胸が苦しくなる。
そうして、私は誹謗中傷の貼り紙や机の上の落書きをいつも通り消していった。
全部消えたはずだが、心の傷は消えそうにもなかった。
あからさまに私に向けられる矛先。
とはいえ、やっぱり辛い。
何かを言い返したところでメリットなんてないし、逆に私がやられてしまうだけだ。
あいつらに逆らうことなんて出来ない。
そんなこんなして、授業が始まった。
いつもの出来ないアピール。
そんなこんなしているうちに授業が終わった。
人々の話し声。
私はその空間から逃げるようにして次の教室へ向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。