黒子「お泊まり会ですの?」
突然の事に少々驚いたのか、黒子が再度問う。
御坂「そ、良かったら黒子も一緒にって思ったんだけど…」
すると、黒子が被せるように声を荒らげて言った。
黒子「良いんですかお姉様!?是非!!是非とも私もご一緒させて下さいまし!!!」
御坂「(そ、そんなに嬉しかったのかしら?まぁ黒子が喜んでくれるならそれでいいけど…)」
御坂「分かったわ!あと、佐天さんと初春も誘いたいんだけど」
黒子「良いですわね!でしたら、初春達には私から知らせておきますので、お姉様は提案者に伝えておいて下さいまし!」
まるで遠足を楽しみにしている子供のようにはしゃいでいる黒子を見て、私まで楽しい気分になってくる。黒子はこういう時にとても頼りになる。私は黒子の頭の上に手を置き、お礼を言った。
御坂「ありがと黒子、頼りになるわ」
その直後に、黒子が奇声を上げながら爆発していたが、日常茶飯事なので気にしない。
御坂「後は…やっぱあいつも来るのかしら?」
御坂の言う"あいつ"と言うのは……まぁ言わずと知れているだろう。
御坂「(い、いやいや!私は別にあいつの事なんてどうでもいいんだけど、で、でも、人数は少しでも多い方が良いわよね。た、ただそれだけだから。うん。そうよ御坂美琴、それだけの理由よ。)」
誰にも聞こえるわけでも無いのだが、誤解を解きたいとばかりに頭の中で誰にも届かない言い訳をつらつらと並べていた。
そんな事を考えていると、黒子が遠慮がちに訪ねてきた。
黒子「お姉様、お聞きしたいことがあるのですが」
御坂「ん?何?黒子」
黒子にどんなことを言われるのか気になり、御坂は何を言うのだと楽しげに待つ。すると、黒子が口を開く。
黒子「そのお泊まり会と言うのは、誰が来るんですの?」
御坂「(まぁやっぱりそこが気になるわよね。
私も早く知りたいわ。)」
御坂「悪いけど、私もまだ知らされてないのよ。でも、かなり沢山の人が来るらしいわよ」
かなりざっくりだが、仕方がない。これくらいしか知らされていないのだから。
黒子「そうなんですのね、なら仕方ないですわね。……お姉様が何処ぞの殿方に襲われないか心配ですが」
不意に言われた図星を指すような言葉に、顔を顰め、御坂の口からう゛っ…と、声が漏れた。
御坂「お、襲われるわけないでしょ!私は学園都市で第3位の能力者なんだから!……ってそこじゃなくて!!」
人生で初めてのノリツッコミ(的なの)をしてしまった。かなり焦ってしまったが、とりあえず誤解を解きたいので本題に切り替える。
御坂「まだあいつがお泊まり会に参加するかどうかなんてわかんないじゃない!」
御坂「(そうよ、ていうかこれから誘おうとしてた相手なわけだし、まだ来るかどうかなんてわかるわけないじゃない。…本当に、人数稼ぎのためだから、あいつが良いとかそんなんじゃないから。)」
明らかなツンデレだ。
その途端、黒子が口角を上げ、満足気に言う。
白井「あらあらお姉様?私は別に殿方と言っただけで、誰とは言っておりませんのよ?」
御坂「…はっ!?っな、ななな…!」
まるでその顔には、"予想通りの反応が見れて満足しました"と書いているようだ。
御坂「(おのれこんちきしょう!!後で電撃1分間お見舞してやるんだから!)」
この会話をした数分後に、電撃と共にとある少女の奇声が舎中に響き渡った。
電話越しに確かに聞き取ったその言葉は、御坂を驚かせるのには十分な言葉だった。
上条『お泊まり会?あぁ、それって打ち止めが計画したやつだろ?あれならもう禁書目録と行く予定になってるぞ』
御坂「え?」
あまりに想定外な言葉に唖然とした御坂は、数秒程固まった後にやっとこさ声を出した。
御坂「あ、あんたも誘われてたの?いつの間に?」
上条「ん〜、3日くらい前だな、打ち止めに電話貰ってな。まさか御坂も呼ばれてるなんてな、ははは」
御坂「ま、まぁひと手間省けたから良いけど…あ、あんた、そのお泊まり会のメンバーって言われてたりする?」
上条なら、少しくらいは話されているかもしれないと思った御坂は、少しばかりの希望を信じ上条に問うてみる。……だが、その希望は一瞬にして絶望に変わった。
上条『俺が知ってる奴だけなら、打ち止め、黄泉川さん、芳川さん、後は……
一方通行だ』
御坂「……………………は」
その瞬間、世界の時が止まった気がした。驚愕して声も出せなかった。もし、今のが聞き間違えでは無いとすれば。私の妹を1万回も殺した張本人。
御坂「……あ、一方通行…?」
なんで?なんでなんでナンデナンデドウシテドウシテドウシテ。
頭が真っ白になる。考えが纏まらない。訳がワカラナイ。なんでそんな奴がお泊まり会なんて愉快な事をしようとしてるの。なんであいつとーー
上条『お、落ち着け御坂!ーーからーーー!』
言葉すらも聞き取れない。こんな状況でどうやって落ち着けって言うの?ふざけないで。
上条『ーー御坂!!!』
御坂「っ…なに、よ」
まだ少しばかり落ち着いていないが、やっと言葉を発せられる様になった御坂は、上条の言葉に耳を傾げる。
上条『あいつは、前とは違う。変わったんだよ!』
御坂「…は、はぁ?なに、言ってんのよ。あいつが変わる?どういうこと?なんで、なんであんなやつがこんなこと…」
上条『御坂。俺を信じてくれ。あいつは、本当に変わったんだ。心を入れ替えたんだ。そんな簡単に危害を加える様な奴じゃない』
暗い夜道を歩きながら、考える。
御坂「(『これを機に、話でもしてみたらどうだ?』なんて……無理に決まってるじゃない)」
1度、お泊まり会の件について断ろうとも考えたが、打ち止めがせっかく考えてくれた事だ。そんな簡単に私情で断る訳にはいかない。
御坂「(…でも、もし、もしも、あいつが言ってることが本当だとしたら?あの時に言ってくれなかった本心を言ってくれるかもしれない。見たことない1面も少しは見れるかもしれない)」
御坂「………信じてみるしか無いわね」
御坂は、何かを決心したかのように顔を上げ、歩み始めた。
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今回結構長めになっちゃいました。
とりあえず御坂が一方通行の今の丸くなった姿を見てビックリするところが書きたいんです。いや、ただそれだけなんですよ。マジで。次くらいには2人合流する……かな!?
誤字、脱字などあると思いますので、気になった方はコメで教えて下さると幸いです☺️☺️
閲覧ありがとうございました!また次回逢いましょう👋
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。