はぁー、疲れた。
やっと休憩か。
俺はドアを開けた。
そこには椅子に座り、机に顔を伏せていた顔が真っ赤、眠そうな表情をしたあなたが。
その机には、ワインらしきものが置いてある。
あなたは俺の前にふらふらと立ち塞がる。
ソファーに座り、両手を広げるあなた。
ギューッ
そう言いながら俺の髪をわしゃわしゃと撫で回してきた。
正直、天使だ。
もう一杯飲ませたらどうなってたんだろう。
俺がそう考えてるうちにあなたはもう一杯を飲み干していた。あっという間に。
眼の色が変わったように豹変し、俺をソファーに押し倒してきた。
その瞬間、
何かが重なった。
すぐにあなたの唇だとわかった。
キスの仕方はとても強引で、
舌は入れてないのに俺の顔を自分の顔に押し付け、あわよくば「ちゅーー♡」なんて言ってる。
俺は呼吸が難しいほど感情が混じり、その上苦しく、キスを終える頃には息が荒かった。
やべぇ…冷たい物なんかないかな…顔が熱い…
俺は冷凍庫にあった保冷剤で顔を冷やした。
効果はなかった。
またすぐに顔が熱くなり、息が荒くなる。
…ッ/////!?
ソファーに座った俺に対して、あなたは俺の膝にまたがり、馬乗り状態。
気持ちの整理がついておらず、息が荒いせいか、綺麗に唇を重ねることが困難になる。
鼻先だけ触れ合っている。
そこには笑顔のあなた。
覚めたら、このこと忘れるんだろうな。
だから好き放題やるんじゃなくて、覚めても好き放題できるようにしたい。
そんな気持ちがあった。
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出番が来た時も、俺は上の空であなたとのキスのことばかり考えていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!