第25話

苦手のその次は。
636
2020/02/09 13:31
それだけ言い残して、咄嗟に走った。
行く宛てなんて無い。だけど、気がつけばまひろの家の前に立っていた。
あなた
あなた
…まひろぉ…
まひろ
まひろ
んっ…どした?
一瞬驚いた顔を見せたものの、平然を装った顔で優しく問いかけてくるまひろ。
私はその優しさに寄り添って理由を言わず泣くことしかできなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
まひろ
まひろ
ふーん、そっか
あなた
あなた
うぅ…ヒック…
まひろ
まひろ
それさぁー、梨沙って子がクズなんじゃないの?
あなた
あなた
どうして…?
まひろ
まひろ
だって、JUMPが「迷惑かけてごめんね」って言ってきたんでしょ?あなたが梨沙に言われたのは「JUMPが迷惑って言ってる」でしょ?その時点で話が噛み合ってないから梨沙があなたとJUMPにそういう事吹き込んだんじゃないの?
あなた
あなた
そう…なのかな…
まひろ
まひろ
私はそうだと思うよー?
そのまま気分晴らしに何気ない話をして、私はまひろの家に泊まった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
朝、私は4時に目が覚めた。
珍しく少し日が出ている時間帯だった。
私は「ありがとう」とだけ書き置きを残し、まひろの家を後にした。
そこらのコンビニで素朴な味のバニラアイスを買い、家の少し遠くの河原で1人で食べる。
涼介
涼介
あなた…?
ランニング中だと見られる涼介が、私の顔を覗き込むように話しかけてきた。
あなた
あなた
あっ…
咄嗟に目を逸らしてしまう。
涼介
涼介
俺、あの転校生の女からお前が迷惑がってるって聞いたんだけど。ごめんな。俺、気づけなくてさ。
あなた
あなた
わ、私はその逆。
涼介
涼介
あいつ、俺らに吹き込んだだけだったのか。
大丈夫。俺、迷惑なんて1度も思ってないs…
あなた
あなた
…やっばりだ。
私はまひろの言った通りだったことを誇りに思い、咄嗟に手に持ってたバニラアイスバーの残りを一口で食べ、涼介に抱きつく。
涼介
涼介
…ずっと…傍にいろ。
急に居なくなられると…困るんだよ。
あなた
あなた
…うん。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あなた
あなた
ごめんなさい。勝手なこと…吹き込まれてただけだとしても…ごめんなさい…
侑李
侑李
そんな事で嫌いになると思うー?
大貴
大貴
うん。ずーっと好き!
雄也
雄也
俺らがあなたちゃんに対する気持ちなんて、相当揺らがないし笑
慧
あっ、わかる〜笑
圭人
圭人
皆ずっとあなたの事大好きだよ。
光
そそ、守ってあげたくなるのに強がるとことか可愛いしさ〜笑
宏太
宏太
その割に優しくて繊細っていうかー…可愛い…んだけど、それより美人って感じで。
裕翔
裕翔
一緒にいる時の安心感とか、あなただけが味わわせてくれるんだよ。
涼介
涼介
皆、…大好きだから。
あなた
あなた
…みんなッ…大好き…!
最初はこんな人達と関わりを持ってこんなにも大好きになるなんて思ってなかった。
苦手を通し越したら、本当の好きになるんだって。初めてわかった。
                      皆、ずっと大好きだよ。

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