私は地毛と同じ色の三つ編みのされているウィッグを被り、灰色に染まったバンダナを頭に巻き、灰被りになって隣にあるバケツに溜まった水を床にかける動作をし、ブラシで床磨きをした。
ゆーやはさすがと言っていいほどのオネエっぷり。侑李は可愛い女装がとても似合っている。
ゆーやはお姉様って感じ。
2人は私を見下してそういった後、舞台裏へと消えていく際に
「頑張れ」と合図を送ってくれた。
すると、暖炉の前で座ってる私に、暖炉の上から慧が現れた。
妖精とは思えない登場に、お客さんも笑っていた。
ここでスモークが辺りを白く染めた。
その瞬間に、私はウィッグを外し、別のウィッグを被り、みすぼらしい服はマジックテープになっていて、中にはドレスを着ている。なので後ろに回ってきた黒子のクラスメイトたちがありえないほどの速さでマジックテープを外し、あっという間にドレスになる。
そしてガラスの靴を履かせられ…という間にも、
背景が変わっていたり、かぼちゃの馬車や馬、家来達がもう既に揃っていた。
そう言ってステージが暗くなり、背景がお城へと早変わりし、たくさんのクラスメイトたちがお城に招待された姫になって登場し、魔法使いの慧は私の肩を優しく叩き、
ニコッと微笑み、舞台裏へと消えていく。
私は驚きを隠せなかった。
涼介の王子役の姿は見たことがなく、
出てきた瞬間に見とれてしまった。
なんてカッコイイのだろう…
私はそれを顔に出さずに次のセリフを言う。
観客は大盛り上がり。
すると涼介は優しい顔で私に口付けをする。
台本では涼介が顔を傾けて私に口付けするとの事だが、涼介は私の頬に手をやり、
私の顔をクイッと上へあげ、口付けをする。
台本とは違うキスの仕方に、私は赤面せざるを得なかった。
そして劇は幕を閉じた。
皆がグラス同士をカランと優しく合わせあう。
そして皆、教室へと向かい、男子は教室の半分を執事喫茶として使い、女子はもう半分をメイド喫茶として使う。真ん中には仕切りが置かれ、お互いは見えないようになっていた。
私はメイド服に着替えるが、
(イメージ)
私は1人、更衣室で自分の中で意見をぶつけ合う。
そう言い、あなたはカーテンを閉める。
〜開店〜
その瞬間、教室が人まみれになる。
〜その後〜
そして家に帰った後、私は眺めのいい公園で、満天の星空を眺めていた。
涼介は缶のコーンポタージュを私に渡してきた。
カチャッ
涼介は隣に座っていた私の頭に手を回し、ぐっと自分の腕の中へと抱き寄せた。
心臓の音が聞こえそうだった。
私は抱き寄せられ、とっくに涼介の腕の中。
涼介の心臓に手を当ててしまっていて、
涼介の心臓の音はとても速かった。
涼介は数秒経つと、私を離そうとする。
自分でもよくわからなかった。
なんだか涼介の腕の中にいると
胸が締め付けられて…
心臓の音が速くなる。
私は、今それを求めてる気がして。
ギュッ
私達の文化祭は幕を閉じた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。