私が席を立とうとすると、涼介はいきなり腕を掴んできた。
腕を掴んだ本人も驚愕の顔とはどういうことだろうか。
ガチャ
大貴は私の手を握ってきた。
私たちは宿題セットを放り投げ、着替えて出かけた。
やる気ゼロかよ!w
大貴side
あなたとデートかぁ… って、まだ浮かれてる自分がいる。
揺れる電車の中、俺たちは座る。
人気(ひとけ)のない電車。心地がいい。
さりげなく手握ったらどんな反応するのかな…
やっぱり嫌かな?びっくりするかな
あーもう!こっちはこんなに悩んでるのに平然としやがって…
と考える間に着いてしまった。
ふわぁぁぁぁっ!!!!顔を赤面させ下を向くとか反則!!何この可愛さ!!!!
は???
何それ可愛すぎか??仕舞いに君付けとか!!!!殺す気か??いやもう殺されるわ
はい天使!!!!
これ、終わったあと俺生きてるかな…()
シューッ
あぁ、なんて幸せなんだろうか。
こんな日々、続けばいいのに。
ずっと、2人で。
あなたも、俺に振り向いて。
手を繋いで
一緒に歩きたい。
夜頃、俺らはスケート靴を脱ぎ、休憩ベンチに座った。
ここのベンチは眺めが良く、とても綺麗な星が沢山。
俺は星よりこいつを…
俺の肩にもたれかかりながらそういう。
チュッ
ŧ‹”ŧ‹”
必死に食いつく無邪気なその姿。
気づいたら、目が離せなくなっていた。
ずっと、ずっと、近くて遠かった。
あの時、私に秘密の場所を教えてくれた。しかも水溜まりだなんて、ひねくれた。
でも嬉しかった。目が離せなかった。
君のことばかり…考えたりなんて。
気づいたらそんなことまで言っていた。
私は泣いていた。なんて哀れなんだろうって。 こんなわがままなの、受け入れて貰える気がしなかったから。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。