第4話

彼のためのごめんね
1,067
2020/01/01 15:05
なんなの。私あんたと仲良くしたいだけ。
なのにモテたいだの騙してるだの。
ホント…なんなの

あなた
あなた
大ちゃん
大貴
大貴
(( _ _ ))..zzzZZ
あなた
あなた
起きて(ユサユサ)
大貴
大貴
うーん…あなた?
あなた
あなた
うん
大貴
大貴
どうしたの?まだ朝早いよぉ…
あなた
あなた
うぅ…グスッ
大貴
大貴
…!?どうした…の?
あなた
あなた
ごめん…涼介と…色々…
大貴
大貴
あぁー、なるほど…
大貴
大貴
じゃあさ、いいとこ連れてってあげる。
ついてきて!
あなた
あなた
…え?
そう言うと、私の手を引っ張り、外へ連れ出した
コンビニを抜け、草道を抜けて。森をぬけて、走り出す。
あなた
あなた
あの、どこまで行くの?
大貴
大貴
もうすぐだよ
もうすぐと言いつつ、すごい走ってるけど…
これじゃ帰った時に学校に間に合わないんじゃないかな…
そう考えていると、大貴は足を止めた。
振り向きざまに、「ついたよ」と言う。
あなた
あなた
わぁ…綺麗
草道を抜けて森を抜けた先には、たくさんの岩で囲まれた大きな穴らしきものがあった。
そこにはたくさんの水が溜まり、大きな青空を映している。
ただの水たまり。そう、ただの。
だけどなんか、暖かみを感じる。
普通の水たまりよりも、遥かに大きい。
空の大きさと同じみたい。
大貴
大貴
ただの水溜まり!笑でも綺麗でしょ?
ここ、最近俺が見つけたんだ!
あなた
あなた
うん…すっごく綺麗
大貴side

泣かれた時は、すごくびっくりした。
涼介の女嫌いは人を泣かせるほどなんだって。
正直、言葉を失った。何を言えばいいんだろう。どう接すればいいんだろう。
慰めあったところで、この先何にもならない。
そんなことはわかっていた。
だから余計なことは言わなかった。
だからとびきり驚かせてあげようと思った。
衝撃を受ければ、気持ちの整理くらいは着くと思って。
だから俺はあなたの手を引いてあそこへ連れていった。
何も言わず、草道を抜けた。
普通の人は水溜まりを見たところで綺麗で終わると思うが、
あなたは驚くと思った。
そんな気がした。
あなたは真剣そうに
悲しそうに水溜まりを見ている
そんなあなたがこう言った。
あなた
あなた
わぁ、綺麗。
色んな気持ちがこもっている気がした。 
慰めようと思ったら
あなたはこう言ったんだ
あなた
あなた
ありがとう
って。
朝焼けに照らされた君は

もっともっと綺麗だった。













あなた
あなた
ねぇ大ちゃん
大貴
大貴
ん?
あなた
あなた
時間とかって戻せたりしないよね?
大貴
大貴
だめだよあなた!いくら涼介と喧嘩したって
仲直りしないt…
あなた
あなた
そうじゃなくって、時計見て
大貴
大貴
えー?7時50分だけ…ど…
大貴
大貴
うわぁぁぁ!朝ごはん食ってねぇし今スウェットだし荷物持ってきてねぇぇぇええ!!!!
あなた
あなた
いつの間にかJUMPのみんなから不在着信とメールがすごい笑
あなた
あなた
…もう1回走る?笑
大貴
大貴
そうしかないっしょ笑
時が止まればいいのに、なんて。そんな叶わないことを考えていた。
先生
お前ら!!!大遅刻だぞ!!何をしてたんだ!!
大貴
大貴
水溜まりを見てました
先生
そんな独特な言い訳誰が使うんだ!!!!廊下に立ってなさい!
あなたと顔を見合わせて笑った。
女子
…ねぇ、なに、あれ。
女子
ムッカツクー。


休み時間にて

女子
あのー、速水さん?美化委員の仕事忘れてなぁい?
あなた
あなた
あっ!忘れてた!ごめんなさい、今水やって来ますね
女子
ひとりじゃ大変だろうから私も着いてくよ
あなた
あなた
あ、ありがとう
美化委員は裏庭の目立たない花壇にも水をやらないといけない。なんせ、美化委員の担当の鈴木先生がすごい張り切っちゃってるものだからね…
あ、ここにも水溜まりがある…綺麗
本当にさっきのは綺麗だったなぁ
そう、覗き込んだ時。
あなた
あなた
きゃっ!
女子
そこで凍え死ねばいいのよ。
そう言って去っていった女子。
冷たい…
身体に冷たさが染みる。
今は冬だし…余計に。
教室暖房効いてたから
上着置いてきちゃったなぁ
深くて出にくい…
足元が凍ってる…
誰か…
助けて…
キーンコーンカーンコーン
あ、チャイムなっちゃった…
みんな私の事
別に心配してないかな
ここで居なくなるにはちょうどいいや
どうせ…どうせ…
あなた
あなた
あがっ…がっ…
声が掠れて消えてく。
誰か…いるのか?
誰…?
涼介
涼介
…!!!!あなた!!
あなた
あなた
来ないで…よ…
涼介
涼介
ッ!?
あなた
あなた
私の…こと…
嫌い…なんで…しょ。
涼介
涼介
あなた…?あなた!!
しっかりしろって…!
涼介
涼介
こんな時に…何も出来ねぇのか俺は…
涼介side
俺はすぐさま走り出した。

あなたを抱えて。

華奢で軽い。
そして俺は気づいた。
こいつの閉ざされた眼には
涙が流れていることに。

すぐさま保健室へ行ったが、誰もいなかった。
そんなことはどうでもよかった。
体が勝手に動いた。
少し抵抗があったが、あなたから制服を脱がせ、俺の体操着を着させ、保健室のシャワー室へ入り、あなたにお湯を流した。

…早く目覚めてくれ。
何だこの罪悪感は。
犯罪の匂いしかしんのだが…
ッ…/////でっ、でも!?下着までは脱がせてねぇし…大丈夫だとは思う…が。
あなた
あなた
ん、んん…
涼介
涼介
あなた!!
あなた
あなた
りょ…すけ?
涼介
涼介
なんで1人であんな場所…
あなた
あなた
どう…して?
涼介
涼介
え?
あなた
あなた
私の事…助けてくれたの?
涼介
涼介
…そんなもん目の前に人が凍えてたら誰でも助けはするだろ。
あなた
あなた
涼介…
ここまでキザなセリフ、言ったことがなかった。
でも言っちゃったものはしょうがねぇけど。
あなた
あなた
あれ…これって体操着?
涼介
涼介
おう。俺の
あなた
あなた
制服は?
涼介
涼介
ひとまず干してある。
あなた
あなた
保健の先生は?
涼介
涼介
俺が来た時からいなかったよ。 
だけどしょうがねぇだろ。呼んでる暇ねぇし。
あなた
あなた
うん…それは、ありがたいけどさ…
あなた
あなた
脱がせたの…?
涼介
涼介
あっ…////えっと…//// それは…
あなた
あなた
きゃぁぁぁあっ!やっぱ見たの!?
変態!!セクハラ!!スケベ!!
涼介
涼介
…それは悪かったよ…///
涼介
涼介
と、とにかく風呂上がったらタオル置いてあっからさっさと拭いて出てこい!!!!
あなた
あなた
…はーい。
のぼせちゃった。
あなた
あなた
変態さん、上がりましたよ
涼介のジャージを貸してもらった。
やっぱり大きい。
涼介、背は小さい方なのに。
不思議。
涼介
涼介
…悪かったって
あなた
あなた
はぁ…もういいから。
あなた
あなた
どーせ大きい方が好きなんでしょ?!私Fしかないし!?
涼介
涼介
(いや貧乳に殺されんぞその基準)
涼介
涼介
見てねぇって。
あなた
あなた
嘘つ…クシュン!
涼介
涼介
ほら、ヒーター
あなた
あなた
やだ、こっちがいい。
あなたの頭は俺の肩にあった。
体温が伝わる。まだ冷たい。
涼介
涼介
…は?
あなた
あなた
罰としてこれくらいはしてよね。
涼介
涼介
俺は動かなかった。
俺はあの時、授業をサボって裏庭で音楽を聞こうとした。
だけど
誰かの声が聞こえて それがあなただった
動かずにはいられなかった
あなた
あなた
涼介
涼介
涼介
ん?
あなた
あなた
ごめんね
涼介
涼介
ん。
あなた
あなた
ありがとう
涼介
涼介
…ん。
あなた
あなた
…zzz
涼介
涼介
…まじかよ///
涼介
涼介
…ごめんな、あなた。
涼介
涼介



おやすみ。

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