無料スマホ夢小説ならプリ小説 byGMO

2,793
2018/02/06

第2話

何も変わらないのね
慧くん
慧くん
いやー、いい家住んでんじゃん
その場で立ち話を交わす訳にもいかず、渋々私の家へと招いた。

白く塗られた室内を見渡しながら慧くんは呟いた。
あなた

旦那のご両親がせっかくだからってお金を出してくれたのよ

いつもならお客様にはコーヒーを出すのだが、彼はコーヒーが飲めないので特別。私も大好きなルイボスティーを差し出した。
慧くん
慧くん
おっ!俺がコーヒー飲めないの覚えててくれた?
あなた

そりゃあ一年も付き合ってたからね

「やったぁ!」と子供のように笑顔をほころばせるながら、目の前に置かれたティーカップに手を伸ばし、口に流し込む。

確か彼はルイボスティーのような後味のスッキリとした爽快感のあるものよりも、
アップルティーやピーチティーのような、どちらかと言えば甘味の強い方が好みだった気がする。


まぁ、それでもお互い30を越えた身。

私にも味覚の変化が多少出てきている分、彼にもきっとそれはあるだろうから現在の好みなんて知らないけど。
慧くん
慧くん
うん、美味しい!でも俺はやっぱアップルティーだなぁ……
あなた

あら、変わらないのね?

すっかりもう甘いのはだめだと決めつけていた。だから、想像していたよりも変わっていなそうな彼にどこか安心感が湧いた。
慧くん
慧くん
そういうあなたは変わったね、いろいろと
あなた

ん、そう?

確かにあの頃からすれば少しは大人になれたと思う。あの頃と比べて料理だって家事だって断然腕が上がっていると自分でも自覚している。
あなた

……そういえば、朝食は済ませた?

慧くん
慧くん
あー……それがまだだったんだよねぇ
ちょうどいい。
冷蔵庫に先程作った卵焼きが入れてある。

「よかったらどう?」と冷蔵庫から卵焼きを取り出し彼に見せる。
慧くん
慧くん
おっ、いいの?
あなた

……どうせ旦那は食べないし、私だってこんなに食べきれないもの

と、ブツブツ旦那の愚痴を混ぜながら冷やしていた卵焼きをレンジで温める。

その間に味噌汁の入った鍋に火を付け、そちらも温めていく。
……そういえば慧くんは猫舌だったな。


ちょうどいい熱さにまで熱すると、火を止めレンジから卵焼きの皿を取り出し彼の前へと並べていく。
慧くん
慧くん
……なんか本当に奥さんって感じ
あなた

奥さんだもの?

2人向かい合ってテーブルに座り、「いただきます」と静かに交わした。
慧くん
慧くん
ん!もしかしてあなた、俺が猫舌なの覚えてた?
あなた

うん

慧くん
慧くん
じゃあ卵焼きは甘いのが好きなのは?
あなた

覚えてるわ。それに、旦那だって慧くんと同じだもの

慧くんは嬉しそうに目を輝かせながら私の出したものを「うまーい!」とはしゃぎながらあっという間に平らげていく。
慧くん
慧くん
……っはー!ごちそうさま!
あなた

本当変わらないわねぇ

そう?と笑みを浮かべながら首を傾げる慧くんに、私は「そうよ!」と微笑みを返す。
慧くん
慧くん
……あなたは本当変わったね
急に真剣な眼差しで私を一点に見つめる。
「どうしたの?」と問いかけるも、何一つ答えようとはしなかった。

その代わりに、黙り込んだまま立ち上がり、こちらへと歩みを寄せて来た。
あなた

………慧、くん?

慧くん
慧くん
……楽しくなさそう。すっごく
と言って慧くんは私の頬に優しく触れた。

あの幼かった手は、今はこんなにも大きくなって血管が浮き上がっていて、男らしいゴツゴツとした力強くなって……。
でも、私はそんな彼には騙されたくない。
あなた

……ねぇ、慧くん。なんであの時私と別れたの?

慧くんはどこかもの哀しげに微笑んでは、静かに「俺が間違ってた」と呟いた。