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2018/02/07

第3話

今更……
私と慧くんは、高校一年生の時に付き合った。告白は慧くんからだった。

それから一年間、私たちは交際をしていたが、突然慧くんから別れを告げられて二人の関係は終わった。
慧くん
慧くん
離れてみてやっと気づいたんだよね
あなた

……何を?

慧くん
慧くん
君の大切さ
確かに私は高校卒業以来、彼に会うのは初めてだ。成人式の時もなんだかんだ言って欠席したから。
慧くん
慧くん
あの頃は本当子供だったよ
あなた

……ずっと一緒にいると大切さを忘れてしまうものよ

なんて、心にも無い事を口にしては彼をフォローしてみせる。


本当は「ふざけないで」と突き放したかった。でも、私だってそんな事口に出来るほど強くはないし、子供じゃない。

いつまでもあの時の事を引きずる訳にはいかないのだ。
慧くん
慧くん
優しいなぁ……料理も美味しいし旦那さんは羨ましいや!
あなた

……そうかしら?

でも旦那……光はあんな調子だ。

最近なんて夜も残業だと言い訳して帰りが遅くなったり、酷い時なんかは朝帰りする事だってある。
あなた

旦那は夜遅くまで残業だって言って帰ってこないのよ。
朝ごはんだって食べて行ってくれないし、なにより部屋だって別々よ?

慧くん
慧くん
そうなの?
私の前にしゃがみ込み、目線を合わせながら優しく相づちを打つ。ちゃんと話を聞いてくれるなんて、優しいのね。
ああ、やっぱり………
あなた

愛を感じないって寂しいものだわ

思わずそっと本音を吐き出した。

彼がそれを聞いていたかどうかは別として、散々不平不満を溜め込んでいる私だってときには愚痴を言いたくなることだってある。


この時もただそれだけの単純な理由だった。
慧くん
慧くん
………僕は今でも愛してるよ
あなた

―――へ?

慧くんは私の身体を抱き寄せては耳元でささやいた。
慧くん
慧くん
ずっと好きだった。別れてからもずっと
あなた

なに、言って………

私の口を彼の懐かしく、優しい唇が塞いだ。
あの時私を振ったくせに、なんで……なんで今更そんな事――――。

瞳から溢れ出てた生暖かい一筋の涙は、私の頬に触れた彼の手の甲へとつたっていった。


お願い、やめて。
これ以上私の心を乱さないで。
あなた

ゃ……めて………ッ!

ハッと我に返った私は、反射的に彼の身体を突き放した。

床へと身体を倒し、尻餅を着いた彼に私は涙でぐちゃぐちゃになった顔で言い放つ。
あなた

これ以上……私を苦しませないで………ッ!

ふざけないでよ。

あの時私の事を振ったくせに今更好きだなんてそんなの………。
それに、今の私には旦那がいる。家庭がある。そんな事慧くんだって分かってるくせに。
慧くん
慧くん
………あなた?
あなた

………ッ……!ごめんなさい……でも今日はもう帰って

震える声で精一杯言い捨てる。
こんな事本当は言いたくなかったのに。なんで私、こんな酷いこと言ってしまったんだろう。

本当はちょっぴり嬉しかった。
光にはそうは見えずとも、他の“誰か”からすれば私はちゃんとした女なんだって。



………慧くんは何も言わず、部屋を後にした。