第4話

まるで不倫のようじゃない?
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2018/02/07 13:50
彼が部屋を後にしてから、私は洗い物や洗濯物そっちのけで泣き腫らした。

子供のように声を大にしてわんわん喚きながら、滝のように溢れ出てくる涙をただただこぼしていた。


とても苦しかった。

なぜあんな事を言ってしまったんだろう。
なぜ素直に“嬉しかった”と言えなかったんだろう。
なぜ彼が私にくれようとしていた愛を私は突き放してしまったのだろう。


様々な後悔に身を包まれながら、私は一人きりの薄暗い部屋で泣き続けた。

………そうすれば、きっと彼へ抱きつつあったこの“想い”だって消えてくれる気がしたから。
あなた

……ッく………こんなんじゃだめだわ………ッ

何時間泣いていたのか分からない。
でも、気づけば時計の針は昼の12時を回っていた。

………これはまずい。
すぐに洗濯物を干さなければ。

それからせっせと洗濯する服達を洗濯機の中へ放り込み、その隙に洗い物を済ませる。


そして、休む暇もなく洗濯が終了した服をベランダの物干し竿へと一枚一枚掛けていく。
あなた

………ふぅ

ようやく午前中にするべきはずだった仕事を終わらせた。

時刻は午後13時半。
まだ夕食の支度には早すぎる。……と言っても今日はあの人が帰ってくるとは到底思えないけど。
重たい気持ちをなんとか起こしながら、渋々買い物へ出掛けるため、玄関を出たその時。
あなた

―――な、なんで……いるの?

家の柵の前に立っていたのは、先程帰ったはずの慧くんだった。
慧くん
慧くん
駅まで行ったんだけど……やっぱり帰りたくなくなっちゃって
あなた

でっ、でも私……これから買い物に行かなきゃ………

気まずくてどうしても目を合わせられない私は、うつむきながら静かに会話を交わす。
慧くん
慧くん
でも旦那さん帰ってくるか分からないんでしょ?
私が何気なく口にしたあの一言を、どうやら彼はきちんと耳にしていたらしい。

悪戯げに微笑むと、「ね?もうちょっと一緒にいようよ」とウインクをかました。
あなた

………はぁ、とりあえず入って?ご近所の目もあるし……

渋々慧くんを再び中へ入れ、誰も入らないように一応鍵を掛ける。

さっきから慧くんが家に出入りしている所、ご近所さんに見られていなかったかしら?と少し不安になりながら。
慧くん
慧くん
そうだ、連絡先教えてよ
あなた

え……あ、うん

何気ない気持ちで、素直に連絡先の交換を了承した。でも……もしもこれが、光にバレたらどうしよう。
慧くん
慧くん
大丈夫だよ。スマホにロック掛けちゃえばいいんだから!ね?
私の心を見透かした慧くんは、スマホを取り上げると慣れた手つきで私のロック解除方法の設定を変更した。
あなた

……指紋、認識?

慧くん
慧くん
そ!だからあなたの指紋じゃないと開かないの!
どうやらメッセージ等の、画面を閉じていても自動的に通知が表示される物も、用心深く通知の設定を変更してくれたらしい。

でも、なんだかそれって……
あなた

不倫しているみたいじゃない?

慧くん
慧くん
ん、そう?
あくまで慧くんにはそのような意思は一ミリも無いという。でも、だとしたらここまでする必要なんて―――。
慧くん
慧くん
それよりさ、もっと楽しい話しようよ?
私の思考を遮るように話題を変えてきた。

その行為に少し戸惑いながらも、
私はとっさに「そ、そうね……」とリビングのソファにお互い腰を掛けた。

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