次の日になっても結局熱は完全には下がらず、休むことになった。
蓮が出ていくと、途端に静かになった。
特にすることも無いし、まだ熱っぽいしもう1回寝ようかな。
……だめだ。寝ようと思うと中々眠れない。
考えてみると1人になるのは久しぶりな気がする。
蓮とは毎日いたけど学年も違うし、さすがにずっと一緒にいたわけじゃない。でも、最近は今まで以上に一緒にいるような気がするし、佐々木とも前より話すようになったと思う。
俺は一緒にいてくれて嬉しいけど、2人はどう思ってるんだろう。
特に蓮なんてもう何年も付き合ってるし、飽きてきたりしてないだろうか。
……まあそんなこと考えたって俺は2人じゃないからいくら考えてもわかるわけないか。
そう思いながら眠りについた。
目が覚めると時計の針はお昼の12時をさしていた。
さすがに何か食べようと思い、ベッドから出ようとするとスマホの画面がついた。
そこには佐々木からの連絡があった。
蓮からも連絡がきた。
いちいち連絡くれるなんてほんと良い奴らだなあ
俺は返信をして台所へ向かった。
適当にあるものを食べてお腹を満たしてからリビングでテレビを観ていたら、昔蓮とよく一緒に観てたアニメの再放送がやっていた。
最近はアニメを観なくなったから、久々にみて懐かしい気持ちになった
小さい頃から蓮は友達に囲まれてたけど、いつも俺と一緒にいてくれた。
それは今も変わらなくてやっぱりちょっと嬉しい。
でもそろそろ蓮だって彼女とかほしいと思うだろうし、いつまでも俺が蓮のそばにいる訳にもいかないよな。
それに蓮が先に卒業してしまうから遅かれ早かれ離れる時はくる。
俺は多分、多分だけど蓮と離れても寂しくはならないと思うし。
そうだな、あとで家に来た時そんなようなことを話してみるか
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!