「か…で……奏、おきて。遅刻するよ」
「ん……」
「おはよう」
「……おはよ」
毎朝性懲りも無く俺を起こしにくるこいつは幼なじみの蓮。
1つ年上で昔っから世話焼きなんだけど、もう高校生になったんだからいい加減朝起こしにくるのはやめてほしい。
「もういちいち朝起こしにきてくれなくていいって。大変だろ?」
「全然大丈夫だよ。……ていうかそういうこと言うならちゃんと自分で起きられるようにしてくれないかな??」
「う……ていうかお前が早すぎるんだよ!」
「まあまあ、ほらほんとに遅刻するよ!」
「おはよー!」
教室に入ると友達の佐々木が声をかけてきた。
「おはよ」
「蓮〜お前また先輩と学校きたのかよ〜俺とも一緒に行こうぜ」
「やだよ、家逆方向だろ」
「迎えに行くからさ!」
「絶対やだ」
高校で知り合った佐々木は、あまり人付き合いが得意じゃない俺に話しかけてくれて、入学してまだ数ヶ月しか経ってないけど結構仲良かったりする。無事ぼっち回避できて一緒にいて楽しいし、感謝してるけど、中々素直になれない。
「……まあ、気が向いなら一緒にいこ」
「……!おうよ!」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。