第56話

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2020/10/27 14:03





『なんだよ最後の言葉って。』
[もちろん、今からお前を殺す、]
「っ、」
彼の目は殺意に満ち溢れていた。
『俺が、俺が何をしたって言うんだよ!』
[俺の愛してる人を傷つけた。]
[その上奪うなんて、、]
[これでも何もしてねぇって言えんのかよ?]
『俺は、傷つけたかったわけじゃない。』
グクは彼を睨みながらそう言った。
『あなたを1人にさせた。それは悪いと思ってる。』
『結婚したかった。』
「う、そ。」
グクの目は本気だった。
[は?]
『朝早くから家を出て、夜遅くに帰ってきた。』
『先輩に無理やり飲まされて吐き気がおさまらないで、あなたのご飯を食べないこともあった。』
『結婚に夢中で、大切なものが見えてなかった。』
『あなた、、ごめん。』
グクの目からは一筋の涙が溢れた。
[で?]
[だからなに?]
[それで俺が許すとでも?]
「っ!オッパお願い。」
「お願い、、やめて!」
私は聞こえるはずのない画面に、何度もそう言った。
『お願いだ。1度だけ、1度だけでいいからあなたに会わせてくれ。』
グクは涙を流しながらそう言った。
[30分。30分以内に来なかったらお前を落とす。]
そう言い捨て、彼は録画をとめた。
「グクッ、」
涙が止まらなかった。
私が行かなきゃ殺されちゃう。
そんな思いで、グチャグチャだった。
「っ、」
私は体を動かし、机に乗ったいた私とオッパの写真を落とした。
“パリンッ、”
私は落ちたガラスの破片を拾って、縄を切ろうと何度も擦った。
“お願い。”
そう何度も呟いて。




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