第39話

1,446
2020/09/15 14:21





私は立ち尽くしてた。
1時間ぐらい?
いや、本当はたったの数分なのかもしれない。
長く感じた。
ドアの向こう側から聞こえる声。
『嫌だよ、、』
『行かないでよ、』
『俺を、、置いていかないで、、』
床を何度も叩いて泣いてる声。
辛かった。
苦しかった。
だけどもう、無理だった。
私は耳を塞いだ。
「ごめんね、グク…」
私はそう呟いた。
『なんで、俺…』
『戻ってきてよ、、』
『またグクって、抱きしめてよ、、』
どんどん崩れ落ちる私の決意。
グクのところに行った方がいいのかもしれない。
もしかしたら変わってくれるかもしれない。
私を愛し続けてくれるかもしれない。
私の心は濁りに濁って、グチャグチャだった。
『あなた…愛してる。』
そう聞こえた時、私は引っ張られるようにドアノブを握った。
その時聞こえた。


[あなた…ちゃん、?]


彼だった。




プリ小説オーディオドラマ