目を覚ますと腕に沢山の点滴やらが刺さっていた。
体を起こそうとすると、頭に衝撃が走った。
腕には生暖かい感触があって、
それが包帯だと気づくのにはそんなに時間がかからなかった。
足を動かそうとすると、何かにぶつかった。
かかっていた布団を手で押すと、黒いものが見えた。
その瞬間、それが動いた。
体が痛くて動かせなくて、何かは確認ができなかった。
でもその必要はなかった。
黒いものがよく見えるようになった。
それは彼だった。
そう、たしか私を階段から突き落とした彼。
私は問いかけた。
「ここは……びょう、いん?」
「グ…グ、」
彼は呆れたような顔をした。
ため息をしてから病室を出ていった。
帰っちゃった、そう思って放心状態でいた。
でも直ぐに誰かが入ってきた。
それはお医者さんだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。