第11話

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2020/07/11 09:50










私は涙を流しながら帰った。
タクシーを運転していたおじさんは不思議そうな顔をしていたけど、
私に何も言ってこなかった。
それが優しさだったんだろうか。
私は足を少し引きずりながら階段を登った。
一段一段。
ゆっくり登った。
階段の上につき、家の鍵をさした。
ゆっくりひねると、“カチャ”という音がなった。
ドアを開けると、彼の靴はやっぱりなかった。
彼はあの女と今、いるんだ。
私は捨てられたんだ。
私はカバンを床へ落とし、涙を流した。
ねぇグク、今どこにいるの?
帰ってきてよ。
私、こんなにもグクのことを愛しているのに。










日が暮れて月が姿を表した頃、
家のドアが開いた。

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