第8話

2,027
2021/02/21 08:26










お医者さんは、私の周りをよく見てから、また私に視線を移した。
『ここがどこが分かりますか?』
お医者さんは時かけた。
「びょう、いん…です、か?」
そう聞くと、お医者さんは安心したように肩が下がった。
お医者さんは一通り説明してくれた。
グクの前で足を滑らせて階段から落ちたこと、
すぐに病院に運ばれてきたこと、
グクはすごく心配していたということ、
今は少し外へ行ったこと、
今日安全が確認されればすぐに帰れる軽傷と言うこと。
私は何も口を挟まず、ただ頷いた。
だっていっぱい間違えているから。
足を滑らせたんじゃなくて、
グクに階段から落とされたこと、
グクは私を心配していないということ、
多分グクは帰ったということ。
ごめんグク、
全部全部知ってるよ。
でもね、言わないよ私。
だって、グクが私を愛しているから階段から突き落としたこと、
それを知っているから。

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