第52話

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2020/10/16 13:27





彼は家につくと、急ぎ足で私にお茶を出した。
『ゆっくりでいい、何があった?』
私は未だ震える手を抑えた。
「オッパ、が、、」
そう言うと、彼は唇を噛んだ。
そうだった。
グクを捨ててオッパの元へ行ったんだった。
「グ、グ、、ごめっ」
私は我慢できなかった。
なんでこんなにも変わらないの。
私が捨てたはずの写真も、割れたままあの場所にある。
お揃いで買ったストラップも
私のお気に入りのふわふわのブランケットも
枕だって、まだふたつあるんだ。
分からない。
分からないけど涙が溢れた。
オッパが怖いのかな。
グクが申し訳なさすぎるのかな。
違う、違うよ。違うんだよ。
多分、いや、絶対。










グクとこうやって話すこと。
この時が来るのをずっと待っていたからなんだ。




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