第47話

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2020/10/02 08:35





あれから数ヶ月がたったある日のことだった。
彼が家へ帰らなかった。
どんなに遅くなっても帰ってくる彼が
初めて家へ帰らなかった日だった。
なんど連絡しても既読がつかない。
電話を鳴らしても電源が切れていて。
私は彼の会社へ行こうと、スマホだけを持って家を飛び出した。
だけど、知らなかった。
彼がどこで働いているのか。
彼がどんな仕事をしているのか。
私は何も、何も知らなかった。
彼をもう少しだけ待とうと、私は家へ向かった。
エレベーターへ乗ろうとすると、ゆっくり閉まっていくのが見えた。
「あっ、」
少しだけ遠かったエレベーターには当然届かないって分かった。
だけど、一つだけ気づいてしまった。
中に乗っていたのは、楽しそうに話すオッパと
前にエレベーターで話した彼だった。




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