第4話

雨降って地固まる
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2021/07/06 12:16
雨の日の、翌日ーー。

オレは朝から体調が優れず、休み時間も机に突っ伏していた。
秋元真夏
藤村くん、大丈夫?
中元日芽香
顔色悪いよ…
藤村 祐樹
うん…
秋元真夏
風邪引いたの?
中元日芽香
今日はもう早退した方がいいんじゃない?
藤村 祐樹
いや、大丈夫…
ゴホゴホと咳き込むと、隣の席の齋藤と目が合った。
齋藤飛鳥
……
彼女は何か言いたそうな顔で、オレをじっと見つめていた。

保健室へ行って熱を測ると38度以上あったので、そのまま早退することになった。
藤村 祐樹
(はぁ、ダルい…。早く帰って寝よう)
 ふらふらしながら正門を出た所で、背後から足音が近づいていた。
齋藤飛鳥
待って!
藤村 祐樹
齋藤さん……
齋藤飛鳥
あの……大丈夫?
藤村 祐樹
うん。きっと明日には治るよ
齋藤飛鳥
…ごめん。昨日の雨のせいだよね?
彼女はそう言いながら、おずおずと、オレが貸した傘を差し出す。
藤村 祐樹
たまたまだよ。気にしないで
傘を受け取って笑顔を向けると、彼女は照れ臭そうに目を逸らした。
齋藤飛鳥
と、とにかく…お大事に、藤村くん
藤村 祐樹
うん。ありがとう
彼女は長い黒髪をなびかせながら、校舎の方へ駆けていった。




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