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第1話

二人の出会い
711
2021/06/08 15:51
 ここは、東洋学園。県内屈指の名門校。
「よし、今日から勉強頑張るぞ!」
そう意気込んでいると、後ろから
「おーい、吉川君だよね。あれ、違った?吉川悠真君?」
「はい、そうですけど、どうして僕の名前を?」
僕は目を丸くしてそう言った。だって、今日は入学式。僕はみんなの名前も顔も覚えてないのに。僕は彼女に「あなたは?」と聞いた。
すると彼女は僕に言った。
「私は、同じクラスの小林莉奈。よろしくね」
「よ、よろしく。僕のに何か用があったんじゃないですか?」
彼女に聞いた。彼女は慌て「そうそう、先生があなたを呼んでるんだった。」と言った。
僕は慌てて、職員室へ向かった。そして、先生と話し終えた僕は職員室を後にした。帰りの支度をして、玄関へ向かうとそこに彼女がいた。
「小林さん、だっけ?どうしたの?」
そう聞くと彼女は答えた。
「あなたを待ってたの。」
僕はその言葉に驚き、「ど、どうして僕なんかのことを待ってたの?」と聞いた。
だって、僕は見た目も中身も冴えないただの高校生。彼女とは違うから。
彼女は、可愛くて、明るいし、気さくで、入学式なのに、周りには大勢の友達、みんなの注目の的で、僕とは正反対の女の子。だから、僕は少し不思議な気持ちになった。
彼女は僕に、「途中まで一緒に帰ろう。私ね、君とお友達になりたいんだ」と言った。
なおさら不思議だった。
『 なんで僕なんかと...。』
そう思いながらも、小林さんと一緒に帰ることにした。
僕は小林さんと少し話をして、途中で別れゆっくりと帰路についた。
僕は帰りながらふと、なんで僕に話しかけてくれたんだろう、なんで僕なんかと友達になりたいんだろう、そう思った。でも、ちょっと嬉しかった。それが、小林さんと僕の最初の出会いだった。


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