第4話

小林さんのやりたいこと
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2021/06/08 15:16
 翌朝、小林さんからメールが来た。そこには、「おはよう!今週末には一度退院できそうなの。だから退院したら、また一緒に学校行こ!来週の月曜日にいつものところで待ってるね。」と書かれていた。
今日は火曜日。後一週間でまた小林さんと学校に行けるんだと思ったら、嬉しかった。
そして、この日も学校が終わってから小林さんのところへ。
ドアをノックして、小林さんの「はーい」の声でドアを開ける。そして、小林さんの元へ行き、今日の出来事などを話し合った。しばらく話をして、突然小林さんが、「ねぇ吉川君、これから吉川君のこと悠真君って呼んでもいい?」と少し照れながら言った。
僕は「いいよ」って答えた。小林さんが「じゃあ、私の事も莉奈って呼んでね」と言ったので、分かったと言い、名前で呼び合うことに。
そして、僕はその日も病室を後にした。
それからは、莉奈が退院するまで毎日病室を訪れた。莉奈とは色々な話をした。
そして、莉奈は退院し、月曜日にいつものところに莉奈はいた。
「おはよう」莉奈の言葉に「おはよう」と返す僕。
それからまた毎日学校へ一緒に行った。
学校では、大勢の友達が莉奈を囲む。それが羨ましいと思うこともなくなった。
だって莉奈は毎朝一緒に学校へ一緒に行くから。それが、何よりも嬉しかったから。
学校が終わり、家へ帰ると莉奈からメールが届いた。
「病院で言ったこと覚えてる?私がやりたいことに協力してくれるって話。もし良かったら、今週の日曜日、悠真君と水族館に行きたいです。空いてたら、一緒に行きませんか?」という内容だった。
嬉しくて、「空いてるよ。僕で良かったら一緒に行こう。」と返信した。
そして日曜日、莉奈と待ち合わせをして、水族館へ。
「どうして僕と水族館へ?」と莉奈に聞いた。
莉奈は、「水族館には一度も来たことがないの。どうしても悠真君と水族館に来たかったの。今日は一緒に来てくれてありがとね。」と言った。
「じゃあ今日は無理しない程度に、とことん遊ぼう。思い出をいっぱい持って帰れるように。」
僕がそう言うと、莉奈はにっこりして頷いた。
遊ぶだけ遊び、帰る時間に...。
「そろそろ帰ろうか。」
僕の言葉に、莉奈は少し残念そうにしながら頷く。少し暗くなったので、莉奈を家の前まで送り届け、ゆっくりと帰路についた。
家に着くと、莉奈からメールが。
「今日はありがとう。実を言うと、やりたいことって、水族館に悠真君と行きたかっただけなんだ。だから、一緒に行けて嬉しかったよ。ありがとう。それから、送ってくれてありがとう。また明日、いつものところで待ってるね。」という内容だった。

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