『…ぅん』
少し体を起こすとそこは 研究室だった
高槻先生は椅子に座り、藁人形を見てる
「嘘を聞くと声が歪んで不快な音に聞こえるとわかってたのにごめんね。」
『いえ…』
『先生が運んでくれたんですか?』
「あぁ、そう。」
『迷惑かけてすいません。』
時計を見ると9時をすぎていた
『あ、先生。御家族とかいらっしゃるんじゃないんですか?』
『私はもう大丈夫なんで、先生帰ってください!』
「一人暮らしだから気にしないで。」
…
「僕も一人暮らし。自由でいいよね!」
…
『先生のご実家は?遠いんですか?』
「世田谷だよ。ここから電車で1時間くらい。」
「両親も健在だけど ほとんど連絡はとっていない。」
お水を置いてくれる
「親といるより1人の方が楽だと言うのは同じだね。」
『…私、こんな自分が嫌なんです。』
「どうしてぇ」
『人って簡単に嘘を付きます。』
『保身のため。家のため。親しいと思っていても平気でこっちを欺きにかかる。』
『声が歪む度に私は人に失望するんです…』
『勝手に。』
『傷つきたくなければ誰とも親しくならなければいい。』
『線を引いて。上辺だけの話をして。空気に合わせて笑って。』
『絶対に線の向こうには踏み込まない。』
『だからサークルも入りません。親友もつくる気はない。』
『楽しい大学時代なんて私には縁がないんです。』
『でも。でも…』
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。