里から帰ってきてどのくらい経っただろうか。
鎹鴉が、「刀鍛冶の里に上弦の肆と上弦の伍が出た。そしてそれを蜜璃さん、霞柱様、炭治郎、もう一人の男の子が倒し、全員生きて帰ってきた」と連絡を伝えに来た。
私が里から帰ってすぐの出来事だったらしく、悔しい気持ちでいっぱいになった。
「あんま思い詰めんなよ。まだ怪我完全に治ってねェんだ、お前は早よ休んで治せ。」
師範の気遣いが余計に染みた。
何気ない気持ちで蝶屋敷に足を運ぶと、包帯だらけの蜜璃さんと霞柱様、そして昏睡状態の炭治郎と一人の男の子。
「あら、あなたちゃん!来てくれたの?」
「えぇ、少し暇だったもので。」
蜜璃さんに促されてベッドの際にある椅子に座らせてもらう。
「こちら、霞柱の無一郎くん。そして、炭治郎君とは知り合いよね。あっちは玄弥君よ。不死川さんの弟くん。」
「え!?」
「ちょっと、静かに!!しのぶちゃんに怒られちゃう!」
「師範の弟って鬼殺隊にいたんですか!?」
師範に唯一生き残ったが生き別れた弟がいることは知っていた。しかし鬼殺隊にいるなんて、師範の口からも聞いたことがなかった。
「あまり触れないであげてね。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!