「おはよう、師範。」
「おはよう、あなた。準備をしなさい。」
「なんのですか。」
「最終選別じゃ。ほれ、急げ。」
サァァァァ、と血の気が引くのがわかった。そういえば。
昨日、教えられることは教えた、明日の最終選別に行け、と急に師範に告げられたのである。
急すぎるんですよ師範。
最近の師範は、元気がない。
もう歳だし、他の老人と比べて健康といっても普通に考えて体力的にしんどいのだろう。
急だけど。師範が期待してくれてんだから。おしえてくれたんだから。
私は行く。師範、必ず生きて帰ります。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。