第38話

38話
1,590
2022/02/21 14:24
もう蝶屋敷にいられるのも今日で最後だし、病室のベッドを堪能しよう。


そう決めて、今日は布団にくるまっている。師範が迎えにくるので隊服もしっかり着ている。




この安らぎを乱す奴は斬首する、なんて師範のような物騒なことを考えている矢先、蝶屋敷の門周辺が騒がしいことに気づく。






「なにしてるんですか。」



「おうあなたか、足治ったか?」



「治りましたよ。今日退院します。あの、なんでアオイを抱えているんですか。」



「遊郭で任務だ。潜入するから女が必要。そんでこいつ。」



「アオイを離してください。離さないと斬首です。」



「お前不死川に似てきたなぁ。でも俺様が潜入するわけにもいかねぇんだ。わかるだろ?」



「私が行くのでアオイを離してください。」




すると、パッとアオイを放り投げる宇髄さん。



炭治郎達も行く、と宣言している。まさかとは思うが潜入?この三人が?





そのまさかだった。藤の花のお屋敷にお邪魔して、服を渡され別室で着替えて出てきた時のことだった。




「宇髄さん?何してるんですか?」



「何、って化粧だろ。ちょっとでも化けねぇとな。」




伊之助が下手くそな化粧を施された顔で見つめてくる。お願いだからこっちをみないで。



「結構、ひどい…ですね?」



「あ?精一杯やったわ。文句あンならやってみろよ。」



「人の化粧はできないんです。ごめんなさい。」




化粧台の前に座る。鏡に映った自分の顔に、程よい化粧を施してゆく。髪の毛はお店でやってもらおう。と一つに縛った。



「こいつら、どこが駄目だと思う?」



三人の顔はなかなかにひどいものであった。あまり化粧の知識はないが、少し改善はしよう。





「三人とも紅を落とせる?色が合ってない。もう少し薄い方がいい。あ、善逸はそのままの色でいいよ。少し拭いて。炭治郎はもう少し橙の方がいいかな。伊之助は桃色の!これ宇髄さんにやってもらって。」



的確に指示を出す姿に、宇髄さんは感動したように顎に手を添えていた。



「お前も女の子だな。」



「斬首です。」

プリ小説オーディオドラマ