「しのぶさん?」
「あなたさん、起きました?体調はどうですか?」
「だいぶ楽になりました。」
開眼一秒の時点で目の前いっぱいに美女がいてうれしい。
「心配なんで、今日一日泊まって行ってくださいね。明日の早朝に不死川さんが迎えにきますよ。」
「自分で帰れますよ?」
「前科持ちだから言ってるんですよ。」
「そうでした。」
「晩御飯の様子を見てきます。甘露寺さんを呼んでくるので、お話ししといてくださいね。」
そう言い残してしのぶさんは出て行った。毒舌なところとかほんと好きですしのぶさん。
「あなたちゃん、体調は良くなった?」
「蜜璃さん!」
「とっても心配したのよ?よくなったなら安心だわ。」
「心配かけてしまってごめんなさい。」
「不死川さんとの鍛錬は慣れた?あ、まだ一日しかやっていないのよね、」
「そうなんです。これから頑張ります!」
「そっかぁ、私も柱になったのはつい最近なんだけどね。それまで炎柱の煉獄さんって人の継子として教えていただいていたの。鍛錬は大変だけど、頑張ってね。」
「ありがとうございます。」
それからしのぶさんがご飯を持ってきてくれて、三人で仲良く食事を取った。
「体調良くなったか?」
「あれ、師範。早朝に来るのでは?」
「雑魚鬼だったもんで。すぐ終わったわ、メシ食ったら帰ンぞ。」
「はーい。」
白ごはんをガツガツ掻き込んで、帰る支度をした。
「しのぶさん、ご飯は誰が作っているんですか?」
「アオイという子が作っていますよ。次来た時にでも会ってみては?年齢も近いので仲良くなれると思いますよ。」
「そうなんですね、また来ます。」
「ええ、では。お大事に。」
「ばいばい、あなたちゃん!」
「さようなら!」
蝶屋敷の外に出ると案外気温は低く、肌寒かった。
「寒ぃか?」
「いえ。お気遣いありがとうございます。」
「あ?嘘つけ。震えてんだろうが。これきとけ。」
「遠慮します、師範それ脱いだら隊服、袖ないんじゃないですか?これくらい我慢しますので。風邪ひかれちゃ困ります。」
「病み上がりに言われたかねェわ。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。