第12話

第2話 2-2
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2021/05/06 09:00
大きめの目、綺麗な二重、整った眉毛。スッとした鼻。少しだけ厚めの潤った唇。
華蓮は織屋の傍に居すぎて見慣れてしまっていたが、彼はよく見れば実はとても綺麗な顔をしている。そんな容姿を持つ織屋を、クラスの女子が放っておくわけがなかった。

休み時間、織屋はクラスの女子によって席を囲まれた。
クラスの女子A
クラスの女子A
如月くんのご両親はどんなお仕事をされているの?
クラスの女子B
クラスの女子B
ねぇ、どこから引っ越してきたの?
クラスの女子C
クラスの女子C
如月くん、校内を案内しましょうか?
女子達は容赦なく織屋に質問攻めだ。織屋は一見爽やかな笑顔を向けているように見えたが、内心とても困っている様子。それを察知した、トイレから帰って来た華蓮がすかさず割って入り、
早乙女 華蓮
早乙女 華蓮
ちょっと!彼に近付かないで!
と怒鳴った。
早乙女 華蓮
早乙女 華蓮
席に戻りなさいよ!!
織屋
織屋
華蓮様、少々言葉が乱暴かと!
止めに入ったのは良いが、そんな“いつも通り”の2人に、今度はこんな質問が飛び交った。
クラスの女子B
クラスの女子B
あら、何?2人とも知り合いなの!?
織屋
織屋
〈ゲッ!!〉
早乙女 華蓮
早乙女 華蓮
〈ゲッ!!〉
2人も初対面の体で接していかないといけなかったのに、うっかりしていたのだ。
クラスの女子A
クラスの女子A
しかも、華蓮様だなんて、まるで執事と主の関係みたいね。2人はどういう関係なの?
なんて言われてしまう始末だ。織屋は、
織屋
織屋
えっと…
と口を濁したまま、良い言い訳が思い付かずにかなり困惑していた。そんな時、華蓮がこう言い放った。
早乙女 華蓮
早乙女 華蓮
か、彼氏よ!彼氏!私の彼氏なの!
それを聞いて、
クラスの女子B
クラスの女子B
えぇ!!?
と、仰天する女子達。それにはさすがの織屋も、
織屋
織屋
はっ!?
とリアクション。でもそんなリアクションを取っては、せっかく自分を庇う為に入ってきてくれた華蓮の行動を水の泡にするだけだと思った織屋は、慌てて口を塞いだ。
クラスの女子A
クラスの女子A
早乙女さん!!何?本当なの!?
と、1人の女子が尋ねてきたことに対して、戸惑いながらも華蓮はこう返した。
早乙女 華蓮
早乙女 華蓮
海外から先日帰ってきたばかりなの!彼、丁寧な人だから、呼び捨てで良いと言っているのに、全然呼び捨てで呼んでくれないの!
適当にやり除けた華蓮。こんな突発的に吐いた嘘が通じるものなのか?女子の1人が追い討ちをかけるようにこんな事を聞いてきた。
クラスの女子C
クラスの女子C
ホントに彼氏なのね!?ねぇ、如月くん。早乙女さんのどこを好きになったの!?
織屋
織屋
え?
クラスの女子C
クラスの女子C
彼氏なんでしょ?
と、彼女らは少し疑ってる様子。
早乙女 華蓮
早乙女 華蓮
〈もうダメだ…嘘は突き通せないか〉
華蓮は心の中でそう呟き、目をつぶってこの状況に絶望していた。だが、織屋はこう述べた。
織屋
織屋
彼女は、こう見えてすごく優しいんです。人付き合いは下手くそですし、口調が荒いので、周りから誤解を招きやすい所もあるのですが、実は誰よりも優しくて、誰よりも人の為にと行動出来るような、強くて勇敢な方なんです。
思いもしなかった言葉に、華蓮を含む一同は驚き、みんな織屋に釘付け状態になった。
織屋
織屋
不器用ですし、多少はワガママな所もありますが、それでもそんな自分を変えようと奮闘するひたむきな彼女の事が、僕は好きなんです
と話す織屋は、とても爽やかで優しい笑顔を向けていた。咄嗟的に出てきただけであろう織屋の言葉に、華蓮は不覚にもキュンとしてしまっていた。






2-3へ続く

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