大きめの目、綺麗な二重、整った眉毛。スッとした鼻。少しだけ厚めの潤った唇。
華蓮は織屋の傍に居すぎて見慣れてしまっていたが、彼はよく見れば実はとても綺麗な顔をしている。そんな容姿を持つ織屋を、クラスの女子が放っておくわけがなかった。
休み時間、織屋はクラスの女子によって席を囲まれた。
女子達は容赦なく織屋に質問攻めだ。織屋は一見爽やかな笑顔を向けているように見えたが、内心とても困っている様子。それを察知した、トイレから帰って来た華蓮がすかさず割って入り、
と怒鳴った。
止めに入ったのは良いが、そんな“いつも通り”の2人に、今度はこんな質問が飛び交った。
2人も初対面の体で接していかないといけなかったのに、うっかりしていたのだ。
なんて言われてしまう始末だ。織屋は、
と口を濁したまま、良い言い訳が思い付かずにかなり困惑していた。そんな時、華蓮がこう言い放った。
それを聞いて、
と、仰天する女子達。それにはさすがの織屋も、
とリアクション。でもそんなリアクションを取っては、せっかく自分を庇う為に入ってきてくれた華蓮の行動を水の泡にするだけだと思った織屋は、慌てて口を塞いだ。
と、1人の女子が尋ねてきたことに対して、戸惑いながらも華蓮はこう返した。
適当にやり除けた華蓮。こんな突発的に吐いた嘘が通じるものなのか?女子の1人が追い討ちをかけるようにこんな事を聞いてきた。
と、彼女らは少し疑ってる様子。
華蓮は心の中でそう呟き、目をつぶってこの状況に絶望していた。だが、織屋はこう述べた。
思いもしなかった言葉に、華蓮を含む一同は驚き、みんな織屋に釘付け状態になった。
と話す織屋は、とても爽やかで優しい笑顔を向けていた。咄嗟的に出てきただけであろう織屋の言葉に、華蓮は不覚にもキュンとしてしまっていた。
2-3へ続く
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。